酒米の栽培から醸造までを一貫して行う「栽培醸造蔵」
泉橋酒造は安政4年(1857年)創業の老舗蔵です。蔵を構えている神奈川県海老名市は、県内有数の穀倉地帯。土地の歴史は古く、3,4世紀の古墳が多く発掘され、8世紀には相模国の国分寺が建立されています。その伝統ある田園地帯は「蛯名耕地(えびなごうち)」と呼ばれていました。現在は、東名高速道路にある有数のグルメスポット「海老名サービスエリア」が有名ですね。
海老名市の恵まれた土壌から採れた米と丹沢山系の伏流水を活かしながら、「酒造りは米作りから」という信念のもと、地元の酒米農家とともに酒米の栽培から精米、醸造までを一貫して行っています。「栽培醸造蔵」(同蔵の商標登録)として、日本酒を農業副産物と捉えている同蔵は、米作り・酒造りを通して、古代から続いてきた伝統を次世代へ受け継いでいくために尽力してきました。また、山田錦や雄町、亀の尾などのさまざまな米作りに取り組みつつ、減農薬や無農薬による栽培にも取り組んでいます。
赤とんぼのいる田んぼで、安心・安全な酒造りを
蔵の姿勢をもっともよく表しているのが、お酒のラベル。印象的な「赤とんぼ」のラベルは、日本酒ファンなら見覚えのある人も多いかもしれません。収穫期に入る田園風景に赤とんぼがよく似合うのは、赤とんぼが田んぼとともに成長していくからでしょう。農薬を減らすことで赤とんぼの数が増え、さらに他の生態系をも育んでいく。安心・安全な酒造りのシンボルとして、ラベルに赤トンボが採用されています。
飲み応えのある生原酒はロックがおすすめ!
全量純米蔵である泉橋酒造のお酒はしっかりとした味わいながらも、キリッと締まった芳醇辛口が特徴。今回の「夏ヤゴブルー」はトンボの幼虫であるヤゴのラベルがかわいらしいですね。
自社栽培の山田錦を58%まで精米し醸造しました。生原酒らしく、上立ち香には麹を思わせる穏やかな香りと、青リンゴやメロンのような香りがあります。口に含むと、トロッとした舌触りやピチピチとしたガス感があり、その後に爽やかな柑橘系の旨味が口全体に広がりました。後口は酸味・渋味を感じさせながらスパッと切れていきます。
夏酒というと、アルコール度数を低くして飲みやすくしたものが多いですが、こちらはアルコール度数が18度ある生原酒。飲み応え抜群です。しかし、生酛のお酒が多い泉橋酒造の中では、フルーティーで爽やかな飲み口のタイプ。キンキンに冷やして飲むのが良いでしょう。
さらにおすすめしたいのはロック。骨太な味わいのある生原酒なので、氷を入れてもあまり味が薄まりません。上質な酸がより引き立ってサッパリ飲めますよ。炭酸4:お酒6ぐらいのソーダ割りも合いそうですね。