SAKETIMES編集部が、いま気になるお酒をテイスティングする新企画「SAKETIMES編集部 注目の一本」。
今月は、山形県の酒蔵ユニット「山川光男(やまかわみつお)」が造る「山川光男 2023 はる」をご紹介します。
山形県内の4蔵からなる「山川光男」
「山川光男」とは、山形県内の4蔵(水戸部酒造、楯の川酒造、小嶋総本店、男山酒造)が結成したユニット。各蔵の代表銘柄である「山形正宗」(水戸部酒造)、「楯野川」(楯の川酒造)、「東光」(小嶋総本店)、「羽陽男山」(男山酒造)から1文字ずつを取り、ユニット名と銘柄名にするとともに、ラベルにも描かれている「山川光男」という特徴的なキャラクターが生まれました。
醸造は各蔵による持ち回り制。季節ごとに「はる」「なつ」「あき」「ふゆ」と、年に4種類のお酒を発売し、今季の「はる」は水戸部酒造が担当しています。
また、年間を通して共通のテーマが設けられており、2023年のテーマは「発酵食品とのコラボレーション」。その第1弾となる今季は、「鶏むね肉のヨーグルトみそ漬け焼き」とのペアリングにぴったりな味わいを目指したのだそう。
白麹を使用することで、クエン酸が特徴的な一本に仕上がっているという「山川光男 2023 はる」。いったい、どのような味わいなのでしょうか。
酸味と甘みの心地よいバランス
それでは、実際にテイスティングをしてみましょう。
色合い
グラスに注ぐと、少し黄色味がかっており、クリスタルイエローに近い色合いです。
香り
爽やかさの中に穏やかな甘さがあり、シンプルかつ上品な吟醸香を感じます。リンゴなどの果物をイメージさせる香りです。香りの要素そのものは多くありませんが、それぞれの要素が際立ち、研ぎ澄まされているような印象です。
味わい
まず最初に感じるのは、まろやかで透明感のある酸味。そのあと、中盤からはやわらかな甘みがアクセントとして加わり、酸味と甘みが心地よいバランスで余韻にまで続いていきます。
ただ、いわゆる「甘酸っぱさ」とは異なる印象です。甘みよりも酸味のニュアンスのほうが強く出ていますが、その酸味を紐解くと、クエン酸の爽やかな酸味の中に、乳酸のようなまろやかな酸味も感じます。酸味が主体の味わいでありながら、決して角が立っているような風味ではないため、引っかかることもなく飲み進めることができます。
アルコール感も控えめで、全体的に香りのイメージに近い、透明感があるきれいな酒質だと感じました。その意味では、"山形県の日本酒らしさ"がある一本だと言えそうです。
合わせる料理としては、公式HPにレシピが載せられている「鶏むね肉のヨーグルトみそ漬け焼き」はもちろん、タンドリーチキンなどもおすすめです。そのほか、いちごの白和えなど、果物を使った料理とも相性が良さそうです。
次回の「山川光男」にも期待!
年間の共通テーマに沿って、山形県内の4蔵が順番に酒造りを行う「山川光男」。2023年の第1弾となる「山川光男 2023 はる」は、酸味と甘みのバランスが心地よく、山形県の日本酒らしさも感じられるような、上品な味わいの一本でした。
その興味を引き立てられるコンセプトや、キャッチーなキャラクターからお酒を手に取る人も多そうですが、そこは実力蔵が結成したユニット。きっと、期待に応えるような味わいを感じられることでしょう。次回の「山川光男」も楽しみです。
◎商品概要
- 商品名:「山川光男 2023 はる」
- 原材料:米(国産)、米麹(国産米)
- 原料米:国産米100%使用
- 精米歩合:60%
- アルコール分:15%
- 価格(税込):2,200円(720mL)、4,125円(1.8L)
- 製造元:株式会社水戸部酒造
(執筆・編集:SAKETIMES編集部)