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ガラスびん製造の大手・東洋ガラス 訪問インタビュー! 営業戦略担当が語る、奥深きガラスびんの世界とは?

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酒米、酵母、精米歩合。日本酒度、生産地、杜氏。そして銘柄名にラベル。日本酒を印象づける要素は実にさまざまです。

そんな中で、黒子として日本酒の提供には欠かせないモノがあります。そう・・・酒びんです。普段何気なく使っている酒びんですが、これまであまりスポットが当たってこなかったのも事実。

ということで、業界第2位の大手ガラスびんメーカー・東洋ガラス株式会社の営業本部の方に「ガラスびん・酒びん」についてのお話を伺ってきました!

ガラスびんを語ってくださったのはこのおふたり

営業本部 企画開発部 大越壯一郎さん

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営業本部 営業戦略部 加藤優香理さん

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”ガラス愛”に溢れる両名から、ガラスびんのロマンチックな魅力をたっぷりと伺うことができました!

大阪・淀川からはじまる東洋ガラスの歴史

まずは、東洋ガラス株式会社について簡単にご紹介します。

創業は明治21年。大阪の淀川に「島田硝子製造所」として、ガラス食器を作りはじめました。昭和28年に総合容器メーカーである東洋製罐グループの一員となり、昭和32年に新東洋硝子株式会社を設立(昭和42年に東洋ガラス株式会社に社名変更)。

現在では従業員数894名、年間売上高312億円(いずれも平成27年3月実績)を誇る、業界第2位の大企業へと成長しています。

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ガラスは“超天然”のエコ素材!?

ところで、ガラスびんって何でできているか知っていますか?

冒頭からいたずらっぽい目で投げかけてきた大越さん。

えーと、ガラスはガラス・・・じゃないんでしょうか?

「そうですね、ガラスびんはガラスでできている、それも正解です。ガラスは何度も使いまわせるエコ素材ですからね。ですがその元になっているのは…実は“大地”なんですよ!」

ふむふむ・・・大地!? いったいどういうこと?

「新しく製造されるガラスびんの7割以上が、同じガラスびんを砕いて作ったカレットです。ですが、主原料は”硅砂(けいしゃ)”という天然の砂なんですよ!硅砂に多く含まれる二酸化ケイ素が高温で溶け、結晶せずに冷え固まることでガラスができます。二酸化ケイ素は地球上の岩石の構成分中約60%を占めている物質。ちょっと難しくなってしまいましたが、要は“地球そのもの”からできる素材がガラスなんです!

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この砂が硅砂。これがガラスになるなんて!

ま、自分も会社に入ってから知ったことなんですが・・・とはにかむ大越さん。
いやいやこれは驚きました。まさかガラスが“大地から成る天然素材”だったなんて!

「地球から生まれる天然素材。どうです、すごくロマンのある容器でしょ!?」

たしかに。ともすると科学的で硬派な印象のガラスびんですが、それが天然素材だったなんて本当に驚きですし、なんだかロマンチックではありませんか。

大越さんは続けます。
「しかも、ガラスびんは非常にリサイクル性にすぐれている、エコな素材なんです。例えば紙パックはトイレットペーパーになり、最終的には流されますよね。でも、ガラスびんはそのままガラスびんに生まれ変わります。国内循環における、究極のリサイクルモデルと言えるのではないでしょうか?
ガラスびんは、100年以上も前からリユースの仕組みを確立してきました。“もったいない”じゃないけど、日本人の”ものを大切にする文化”があるように思えます」

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東洋ガラスではリユースのびんの開発に力を注いでおり、数々の功績を残している

大地から科学へ、ガラスびんの色付けについて

「弊社では、アンバーびん(茶色)やフリントびん(透明)などさまざまな色調のガラスびんを製造しています。原料は、海外からの輸入だけでなく、国産の原料を調達することで安定供給につなげています」と大越さん。

なるほど。高品質なガラスびんをつくるために原料までも自社採掘しているんですね。さすが業界第2位、恐れいりました。

「ガラスびんの色は“生産途中の化学反応”で付けているんです。金属を入れることによる酸化と還元。小学校のときに理科の実験でやったあれです(笑)」

と、目を輝かせる加藤さん。先程まで“大地”の話をしていたのに、今度は科学実験・・・。ガラスびん、奥深し。

「どうです面白くなってきましたか?この話を、日本酒を飲みながらするとまた盛り上がるんです。”このコバルトはね…”とか(笑) 」とは加藤さん。続けて大越さんも「容器一つで1時間以上話せるのって、たぶんガラスびんだけじゃないかと思うんですよね!」と目を輝かせていました。

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ガラスへの愛が滲み出ているおふたりの話から、奥深いガラスびんの魅力が少しづつ見えてきました。

東洋ガラスの酒びん造り

ガラスびんへの理解が深まったところで、いよいよ本題「酒びん」について聞いていきます。まずは大越さんに、東洋ガラスでの酒びん製造について伺いました。

― 東洋ガラスでは、どんな酒びんを作っているのでしょうか?

「小さいカップから一升びんまであらゆるサイズの酒びんを作っています。また、スタンダードな形状から小ぶりで特殊なものまで対応しています。最近、日本酒のパッケージも変わってきていますよね。若い人でも手に取りやすい、デザイン性の高いものが増えているように思います。われわれも、その変化に対応できるようと努めていますよ。例えば、デザインとセットで提案できるような変形ボトルを開発したり。あとはカラーバリエーションが多いところも弊社の強みです」
bin「日本酒はデリケートな飲み物です。そのため紫外線の透過率が低い茶色や深緑色のびんが愛用されてきましたが、最近ではおしゃれな透明びんも増えていますよね」

「たとえば、このびんは特殊なインクで部分フロストのようにプリントしています。中身が入った状態で月の部分をのぞくと、カエルのイラストが浮かび上がる仕様です。こんな遊びのある酒びんも作ることができるんですよ」

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― 続いて加藤さんに伺います。日本酒でも180ml,300mlといった小びんが増えてきていると思うのですが、実際のところはどうなんでしょう?

「日本酒を最近好きになった、もしくはこれから飲みたいなと思っている方にとって、四合びんはちょっと多すぎますよね。大手の酒蔵を中心に、コンビニ等で“飲みきりサイズ”を販売するケースは増えていると思います。その際、小さいサイズやスリムタイムの酒びん、中にはワインボトルを使うところもありますね。今までの日本酒では考えられなかったガラスびんのカタチがどんどん登場していて、各蔵が若い人に飲んでもらうための“工夫”を凝らしていると感じます。ワインボトルを利用するケースは、海外市場を睨んでのことかもしれませんね」

時代に合わせて変化してきた酒びん。そんな今、東洋ガラスが開発した“新しいコンセプトの酒びん”に注目が集まっています。

小さな蔵にも“デザイン”を。オリジナル酒びんブランド「衣玻璃(きぬはり)」の挑戦

「酒びんにもいろいろな選択肢が増えていますが、“オリジナル型の酒びん”となると、まだまだハードルが高いのが現状です。高額な金型を作らなくてはならず、最小ロットも数十万本。大手蔵はまだしも、中小の蔵にはちょっと手が出ないですよね。印刷のみオリジナルで対応するにも、少なくとも数千〜1万本は最低ロットとして必要になります。だから、そのような蔵は“色”を選ぶくらいしか選択肢がなかったんです」と加藤さん。

そんな小さな蔵にも、“びんを選ぶ楽しさを提供したい”と開発されたのが「衣玻璃(きぬはり)」シリーズ。2015日本パッケージングコンテストにて「飲料包装部門賞」を受賞した東洋ガラスのオリジナルブランドです。

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「衣玻璃」はさまざまなスタイルの汎用デザインがびんに印刷されています。ここに蔵元側でラベルを貼ることで、オリジナルデザインに近い酒びんができるんです。今までになかった、新しい発想で開発されたこの商品について、発案者である加藤さんに詳しく話を伺いました。

―  まずは「衣玻璃」を開発するに至る経緯を教えていただけますか?

「わたし自身、もともと印刷機の立ち上げをやっていたのですが、これはすごい技術なんです。だからこそ、もっとたくさんの人、とくにオリジナルボトルをつくることが難しい中小の酒蔵さんにも印刷ボトルを楽しんでほしいと思い、企画しました」

― もともと日本酒の蔵元を応援したいと思っていたのですか?

「東洋ガラスに入ったこともあって、日本酒がすごく好きになりました。日本酒のいいところは、酒蔵によって味のバリエーションがたくさんあるところだと思っています。大手メーカーはもちろん、小さいながらのこだわった酒造りをする酒蔵をパッケージの観点から応援したいと思っていました。『衣玻璃』の出発地点はここですね」

― 開発段階で苦労されたことは何ですか?

「弊社では基本的にB to Bの業務が中心で、エンドユーザーの方に直接商品を提供することはまずありません。ですが、衣玻璃はB to Cのつもりで開発をしました。どんな売り場に置かれて、どんな人がどんな気持ちで手に取るのかを徹底的に考えてコンセプトをつくりましたが、普段とは違う発想なので苦労しました」

こうして生まれた「衣玻璃」のブランドコンセプトは3種類。
日本らしい四季折々の季節感を演出する「四季玻璃(しきはり)」、上質感・高級感を追求した「Classup」、女性らしいカラフルでポップなデザインの「Dressup」。それぞれ加藤さんをはじめとする開発チームが何ヶ月もかけて創りあげたコンセプトです。
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これら3つのブランドコンセプトは開発当初から変わらず残っていて、この中でデザインを毎年リニューアルをしています。従来の酒びんとはまったく異なる、洗練されたデザインですよね。店頭で並んでいたらついつい手にとってしまいそうです。

「四季玻璃は、とくに日本酒の酒蔵を意識して開発しました。季節によって味わい方が違うのは日本酒ならではの面白いところ。それをパッケージからも感じさせたいと思いました。たとえば、春の新酒ならではの春らしいボトルで表現したいんです」

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― 現在、どのくらいの酒蔵に利用されているのですか?

「現在、全国で90社程度のメーカーさんに採用していただいています。北は北海道、南は沖縄まで!沖縄では泡盛のほかにパイナップルリキュールでも使われているんですよ」

― 今後の展望を教えてください

「衣玻璃は、今は“限定のお酒”に使われることが多く、量販店ではあまり見られないんです。酒蔵と新しいお客様とをつなげるボトルでありたいので、できるだけたくさんのお客様に手にとっていただけるようにアプローチしたいと思っています。また、衣玻璃を採用してくださっているお客様(酒蔵など)や、エンドユーザーの方の声を反映して、新しいアイデアを盛り込んでいきたいです」

― 衣玻璃の今後がますます楽しみですね!ありがとうございました!

黒子からパートナーへ、生活を彩るガラスびん

インタビューの最後に、大越さん・加藤さんが口を揃えておっしゃっていたのが「ガラスびんは、生活に寄り添う容器なんだ」ということです。

「ガラスびんが他の容器とちょっと違うのは、ガラスびんは”容器と食器の中間”なのだと思うんです。テーブルに置いて絵になる、食事のシーンにしっくりくる、そんな上質感がガラスびんの魅力だと思うんです。食卓を彩る存在として、ガラスびんにもっともっと注目していただきたいですね。」と大越さん。

「ガラスびんって、生活のなかでのちょっとしたこだわりを伝えるものだと思います。容器のなかでもそこが特徴的だと感じます。それに『衣玻璃』は捨てられないでしょ?(笑) 自分でも欲しいな、と思えるものを開発したんです」と加藤さん。

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ただの容器ではなく、生活を彩るパートナーとしてのガラスびん。その中の筆頭が、酒蔵にとってもユーザーにとっても新しい価値を持つ「衣玻璃」なのだと感じました。日本酒が注目され、食へのこだわりが高まる今だからこそ、それらを輝かせるガラスびんもさらに裾野が広がっていくことでしょう。

黒子の容器から、食生活のパートナーへ。これからのガラスびんに注目です!

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