世界的なワインコンテスト「International Wine Challenge」(インターナショナル・ワイン・チャレンジ/以下「IWC」)の2023年の審査結果が先日発表され、長野県の湯川酒造店の「十六代九郎右衛門 純米吟醸 美山錦」が、SAKE部門の最高賞である「チャンピオン・サケ」に輝きました。

「IWC 2023」にて「チャンピオン・サケ」に輝いた「十六代九郎右衛門 純米吟醸 美山錦」

そんな「チャンピオン・サケ」をはじめ、SAKE部門の各カテゴリーのトップであるトロフィー受賞酒を楽しめるイベント「プレミアム日本酒試飲会」が、来る10月21日(土)に都内で開催されます。

今回は、この「プレミアム日本酒試飲会」で提供されるトロフィー受賞酒の一部を、SAKETIMES編集部が一足先にテイスティングしました。この記事では、各受賞酒の特徴や魅力をお伝えします。

世界中の専門家が審査するコンテスト

「IWC」は、世界でもっとも影響力があると言われているワインコンテスト。ワインの専門家を中心に世界中のプロフェッショナルがロンドンに集まり、複数回のブラインドテイスティングを通して、厳正な審査を行います。

「IWC」(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)の審査風景

2007年に設立されたSAKE部門は、「普通酒」「純米酒」「純米吟醸酒」「純米大吟醸酒」「本醸造酒」「吟醸酒」「大吟醸酒」「スパークリング」「古酒」の9カテゴリーに分けられ、それぞれのカテゴリーの中で、審査結果に応じて「ゴールドメダル」「シルバーメダル」「ブロンズメダル」「大会推奨酒」のいずれかの評価が各出品酒に与えられます。

さらに、各カテゴリーのゴールドメダルの中で特に優れた出品酒に「トロフィー」の栄誉が与えられ、その中の1点に、SAKE部門の最高賞として「チャンピオン・サケ」の称号が与えられます。

また、近年は、各カテゴリーのトロフィーには及ばなかったものの、トロフィーに準ずる品質の出品酒に与えられる地域別のトロフィー「リージョナル・トロフィー」が設けられています。

今回は、「普通酒」「純米酒」「純米吟醸酒」「純米大吟醸酒」「本醸造酒」「吟醸酒」「大吟醸酒」「スパークリング」「古酒」の9カテゴリーのトロフィー受賞酒をテイスティングしました。

世界が認めたトロフィー受賞酒の味わいとは?

普通酒:菊正宗 しぼりたてギンパック(菊正宗酒造/兵庫県)

菊正宗 しぼりたてギンパック(菊正宗酒造/兵庫県)

創業350年を超える老舗酒蔵・菊正宗酒造が2016年に発売した日本酒。自社開発の酵母を使用し、リーズナブルな普通酒でありながら、大吟醸酒のような香りを実現しました。

2023年は普通酒カテゴリーのトロフィーに加え、優れたコストパフォーマンスの日本酒に与えられる「グレート・バリュー・アワード(※)」にも輝いています。

※四合瓶換算で、日本での小売価格が税抜1,200円以下、かつ生産量が10万本以上という優れたコストパフォーマンスを持った出品酒の中から1点のみに与えられる賞。

テイスティングコメント

香りは華やかでフルーティ。バニラ感のある上品な香りもあり、嗅いだだけでは普通酒とは気づかないほどです。

飲んでみると、バニラクリームのような親しみやすい甘みが感じられますが、飲み心地は軽快で、アルコール独特の苦味や辛味はほとんどありません。

日本酒を飲み慣れていない人にも楽しんでもらえるように、シンプルで飲みやすい味わいに仕上げられています。

純米酒:あたごのまつ 特別純米(新澤醸造店/宮城県)

あたごのまつ 特別純米(新澤醸造店/宮城県)

出品した複数の日本酒すべてが高い評価を得た酒蔵に与えられる「サケ・ブリュワリー・オブ・ザ・イヤー」を受賞した新澤醸造店。“究極の食中酒”を目指して、「伯楽星」と「愛宕の松(あたごのまつ)」の2銘柄を造っています。

「あたごのまつ 特別純米」は、酒米をあまり磨かなくても、まるで高精白の日本酒のような味わいを実現できる精米技術「扁平精米」を用いて造られた純米酒です。

テイスティングコメント

香りは、綿菓子のように軽快でやわらかい甘みの印象。

口当たりは、シルクのようになめらか。米の旨味をしっかりと感じますが、全体のバランスが良いため、重たくありません。精米歩合60%の特別純米酒ですが、純米大吟醸酒のような透明感で、エレガントな味わいです。

欠点を探すのが難しいほどの完成度で、思わずすいすいと杯を重ねてしまいそうです。

純米吟醸酒:十六代九郎右衛門 純米吟醸 美山錦(湯川酒造店/長野県)

十六代九郎右衛門 純米吟醸 美山錦(湯川酒造店/長野県)

酒蔵としては日本有数の標高にある長野県木祖村で酒造りをしている湯川酒造店。「十六代九郎右衛門」は、16代目の蔵元・湯川尚子さんが当主に就任してから生まれたブランドで、「造り手の感性とともに、記憶に残る酒を。」をコンセプトに掲げています。

長野県発祥の酒米「美山錦」を使ったこの一本は、2023年の「チャンピオン・サケ」に輝きました。

テイスティングコメント

香りの第一印象は、ヨーグルトのような乳酸感のある甘み。その中に、柑橘系のフルーツのような、淡く爽やかな酸味があります。

飲んでみると、八朔や文旦のような柑橘系のフルーツを思わせる爽やかな酸味とほど良い苦味を感じます。全体的に甘酸っぱい酒質ですが、余韻にはスパイシーな印象もあり、さまざまな料理との好相性が期待されます。

ひと口の味わいを構成する要素がたくさんありますが、それらが見事に共存した絶妙なバランスを楽しむことができます。

純米大吟醸酒:日輪田 生酛 純米大吟醸(萩野酒造/宮城県)

日輪田 生もと 純米大吟醸(萩野酒造/宮城県)

宮城県栗原市で1840年に創業した萩野酒造。代表銘柄「萩の鶴」は、香りが穏やかですっきりとした味わいですが、もうひとつの銘柄「日輪田」は、米の旨味を引き出した味わいとなっています。どちらの銘柄も、飲み飽きしない酒質が特徴です。

テイスティングコメント

香りは、ユリなどの白い花を思わせる、穏やかで上品な甘みが中心。芳醇な甘みのあるバナナや、コーンフレークのような香ばしい穀物のニュアンスも感じられました。

飲んでみると、香りと同様に、バナナのような甘みがあります。また、生酛ならではのミルキーな味わいも感じられ、全体的にまろやかな印象です。余韻には、穀物をローストしたような香ばしさも感じられます。

常温で置いて温度が上がると、まろやかな印象がさらに強くなりました。冷やしても常温でもバランスの良い一本です。

本醸造酒:あたごのまつ 鮮烈辛口(新澤醸造店/宮城県)

あたごのまつ 鮮烈辛口(新澤醸造店/宮城県)

純米酒カテゴリーに続いて、新澤醸造店の「愛宕の松(あたごのまつ)」が本醸造酒カテゴリーでもトロフィーを獲得。この「あたごのまつ 鮮烈辛口」は、同社の高級ラインナップと同じように、マイナス5℃で氷温貯蔵するなどの徹底した品質管理のもとで造られています。

テイスティングコメント

香りは、青リンゴのような、若く爽やかなフルーツを思わせます。シンプルでクリアな印象の甘みです。

飲んでみると、最初はジューシーな甘みを強く感じますが、全体的に透明感のある味わいで余韻のキレが鋭く、後口はすっきりとしています。アルコール由来のほんのりとした苦味や辛味が心地良く、洗練されたバランスの一本です。

市販されている一般的な本醸造酒とは一線を画す、上品で高級感のある本醸造酒です。

吟醸酒:大雪渓 アルプス 吟醸(大雪渓酒造/長野県)

大雪渓 アルプス 吟醸(大雪渓酒造/長野県)

北アルプスの天然の雪解け水を使い、地元の人々に愛される日本酒を造り続けている、長野県白馬村の大雪渓酒造。「大雪渓 アルプス 吟醸」は、リンゴのような香りを生成する長野県独自のアルプス酵母を使用した生貯蔵酒です。

テイスティングコメント

香りは、爽やかな甘みとシャープな酸味が調和しています。青々とした木々のニュアンスも感じます。

飲んでみると、天然の湧水のように、じんわりと沁み込んでいきます。凝縮された甘みと爽やかな木々の香りが口いっぱいに広がりますが、優しく心地良い苦味のおかげで、余韻はキレ良くまとまっています。

ゆっくりと森の中を歩いているような気分にさせてくれる吟醸酒です。

大吟醸酒:夜明け前 大吟醸(小野酒造店/長野県)

夜明け前 大吟醸(小野酒造店/長野県)

小野酒造店の創業は1864年。代表銘柄の「夜明け前」は、詩人・小説家の島崎藤村が著した同名の小説から名付けられました。トロフィーを受賞した「夜明け前 大吟醸」は、酒米の王様とも呼ばれる「山田錦」を精米歩合35%まで丁寧に磨いて造られています。

テイスティングコメント

混じり気のない透き通った水の中に芳醇なフルーツが溶け込んだような、透明感のある美しい香りです。白桃やメロンなどのジューシーな果物や、若く青々しい竹のニュアンスもあります。

飲んでみると、アルコール由来のスパイシーな苦味が感じられますが、口当たりの印象はやわらかく、綿菓子のような優しい甘みが広がります。

穏やかで心地良い甘みと、ピリッとしたスパイシーな苦味が両立された、絶妙なバランスの大吟醸酒です。

スパークリング:竹葉 瓶内後発酵純米酒(数馬酒造/石川県)

竹葉 瓶内後発酵純米酒(数馬酒造/石川県)

石川県の奥能登で、全量地元産米の酒造りに取り組んでいる数馬酒造。この「竹葉 瓶内後発酵純米酒」も、石川県産の食用米「ゆめみづほ」を使用した地元密着の一本です。

テイスティングコメント

香りは、炊いた米のようなふっくらとした甘みがあります。乳製品のようなミルキーなニュアンスも、ほんのりと感じられます。

飲んでみると、泡の粒は大きめで、白ブドウやメロンを思わせるジューシーで豊かな甘みを感じます。乳酸系のきれいな酸味の印象も強く、全体的にメロンクリームソーダを飲んでいるような感覚になります。

しっかりとした飲み応えのある味わいですが、酸味と苦味のおかげで、余韻はすっきりとしています。

古酒:華鳩 貴醸酒8年貯蔵(榎酒造/広島県)

華鳩 貴醸酒8年貯蔵(榎酒造/広島県)

仕込み水の一部に日本酒を用いる製法で造られた「貴醸酒」に注力している榎酒造。今回は、その貴醸酒を8年間熟成した「華鳩 貴醸酒8年貯蔵」が、古酒のトロフィーを獲得しました。

テイスティングコメント

香りを構成する要素が多く、非常に複雑な印象。干しぶどうやビターチョコレート、バニラエッセンス、干し椎茸、オニオンスープなど、さまざまなニュアンスが感じられます。

飲んでみると、香りと同様にさまざまな要素が絡んだ複雑な味わいですが、深いコクのある濃醇な甘みが前面に出ています。プリンのカラメルソースのようなほろ苦さも、甘みを引き立たせています。

長い熟成を経て、さまざまな香りや味わいが溶け込んだ濃厚なスープのような一本。それでいて、飲み口はあまり重たくないので、デザート酒としてカジュアルに楽しむことができます。

「IWC 2023」のトロフィー受賞酒

「IWC 2023」SAKE部門の9カテゴリーそれぞれのトップに輝いた日本酒をテイスティングしましたが、いずれの日本酒も、各カテゴリーの代表としての魅力を十二分に感じられる、高い品質と強い個性を兼ね備えた味わいでした。

10月21日(土)に開催される「プレミアム日本酒試飲会」では、この記事で紹介した日本酒に加え、リージョナル・トロフィーを獲得した日本酒も含めた20種類以上の受賞酒を味わうことができます。

世界が認めた日本酒の数々を試飲できるこの貴重な機会に、参加してみてはいかがでしょうか。

(取材・文:Saki Kimura/編集:SAKETIMES)

◎イベント概要

  • 名称:プレミアム日本酒試飲会
  • 日時:2023年10月21日(土)
    ・日本酒トークセッション 12:45〜14:00
    ・第1部 14:00〜15:30
    ・第2部 16:30〜18:00
    ※各部入れ替え制。開始時間の30分前から受付。
  • 会場:YUITO 日本橋室町野村ビル 野村コンファレンスプラザ日本橋 6階
    ※受付は5階。
  • チケット種類(料金)
    ・日本酒トークセッション&第1部(3,500円)
    ・第1部のみ(3,500円)
    ・第2部のみ(3,500円)
    ※先着順で無くなり次第終了となりますので、お早めにお申し込みください。
  • チケット購入ページ
    ・e+(イープラス):日本酒トークセッション&第1部第1部第2部
    ・チケットぴあ:日本酒トークセッション&第1部第1部第2部
  • 注意事項:
    ・20歳未満の方はご参加いただけません。
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  • 主催:野村不動産株式会社
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