冬を越え、春の訪れが感じられるようになってきましたが、まだまだ燗酒が美味しい季節。今回は、自宅で簡単に燗をつける方法を紹介いたします。

お好みの温度で燗をつけたい人には、湯せんがおすすめ!

もっとも基本的でシンプルな燗のつけ方が、湯せん。手軽にできるので、自宅で燗をつけるときにおすすめです。ベーシックな湯せんの方法を紹介しましょう。

湯せんによる燗のつけ方

1.鍋で湯を沸かし、沸騰したら火を止めます。

2.徳利にお酒を注ぎ、湯につけます。

熱い湯を張った鍋に徳利が入っている写真

ポイントは、徳利の半分以上が湯につかるようにすること。湯の量が少ないと温度にムラが出てしまうので、気を付けてください。また、香りを逃さないために、徳利の口にラップをする方法もあります。

3.好みの温度になるまで待てば、できあがりです。

1〜2合であれば、およそ2分で40℃前後のぬる燗になります。50℃前後の熱燗がお好みの人は、3~4分、湯せんをしてください。

また、温度を計るときは、調理用の温度計を使うのがおすすめ。燗酒ファンの御用達グッズ「酒燗計」を使えば、「あつかん」「ぬるめ」など、気分に合わせて温度を調節することができますよ。

 

「徳利を洗うのが面倒」という人には、片口やチロリがおすすめ

「徳利を持っていない」「徳利を洗うのが面倒」と思う人も少なくないかもしれません。口が大きく開いている「片口」という酒器は、注ぎやすく洗いやすいため、徳利よりも気軽に燗をつけることができます。耐熱性のある材質かどうか、事前に確認するのを忘れずに。

方口でも熱燗は作れます

また、燗をつけるための「チロリ」と呼ばれる酒器もあります。

お鍋に入っているチロリ

高価な錫製のチロリもありますが、アルミ製は1,000円程度の手頃な価格で買うことができます。

  

燗酒をさらに美味しく飲むために、おちょこや盃などの酒器を湯に通して、あらかじめ温めておくのもおすすめです。注いだあとの温度変化がゆるやかになるので、美味しさが持続します。ぜひ、お試しください。

おひとりさまでも気軽に!レンジでチンしてすぐ呑める

電子レンジでも燗酒をつくることができます。徳利がない場合は、マグカップや耐熱性のグラスなど、お好みの器で代用しましょう。少量から手軽に温めることができるので、「ひとりでちょっとだけ飲みたい」というときには電子レンジが力を発揮してくれますよ。

電子レンジを使った燗のつけ方

ここでは、500Wの電子レンジで1合のお酒を温める場合を紹介します。

1.徳利にお酒を入れて、30秒間、温めます。

香りを逃さないように、徳利の口をラップで包むと良いでしょう。

写真:レンジに入っている徳利

2.電子レンジから徳利を取り出し、温度が均一になるよう、かき混ぜます。

徳利の中のお酒を撹拌している写真

3.さらに30秒間、レンジで温めてできあがりです。

電子レンジを使う場合、急激に温度が上がってしまうため、途中で一度取り出して軽くかき混ぜるのがポイント。温めるのに必要な時間については、酒器の材質や電子レンジの機種などによって異なりますが、以下を参考にしてください。

  • 約40℃のぬる燗・・・30秒→かき混ぜる→30秒
  • 約50℃の熱燗・・・40秒→かき混ぜる→40秒
    ※ 500Wで1合のお酒を温める場合

燗をつけるための商品も続々登場!

鍋での湯せんや電子レンジだけでなく、自宅で簡単に燗酒をつくることができるアイテムが多く発売されています。

電熱式の酒燗器や、業務用製品の卓上版など、さまざまな形があります。一日の終わりに、身も心もほっこりする燗酒を、それぞれのやり方で楽しんでくださいね。

  

奥深い燗酒の世界

温めたお酒をひとくちに「熱燗」と呼ぶこともありますが、実はそれぞれの温度帯に名前が付いています。35℃程度を「人肌感」、40℃程度を「ぬる燗」、45℃程度を「上燗」と呼びます。よく耳にする「熱燗」は、厳密には50℃程度の燗酒を指します。さらに温度が上がって55℃程度になると「飛び切り燗」という名前が付きます。

日本酒は、冷やしても温めても美味しく飲める不思議なアルコール。温度帯によって、同じ日本酒が実にさまざまな表情を見せてくれます。奥深い燗酒の世界を、湯気の向こうに感じてみませんか。

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