飲食店や酒販店で見たり聞いたりする日本酒の用語を知ることで、さらに日本酒を楽しむことができるようになります。今回は、日本酒の表現としてよく使われる「キレ」という言葉を紹介します。

日本酒の「キレ」とは?

日本酒やビールなどのアルコール飲料を「キレが良い」「キレ味がある」という表現で評価するのを聞いたことはありませんか。

これは「後味がスッキリとして軽快」という意味です。日本酒の世界では、「キレ味」の対義語として「押し味」という用語を使うこともあり、これは口に含んだ後の余韻が長く伸びていることを表しています。

つまり、日本酒の「キレ」とは「酒を飲み込んだ後に、その味わいが消えていく様子」を意味しているのです。

「Kura Master2018」の審査風景

一般的には「淡麗辛口でキレが良い」など、「淡麗」や「辛口」という言葉とともに使われることが多いですが、必ずしも、辛口の酒だけがキレの良い酒ということではありません。「甘口でキレがある」「濃醇でキレが良い」という場合も存在するのです。また、ゆっくりと味が消えていくような酒でも、余韻の美しさを指して「キレが良い」という表現を使うこともあります。

キレの良い酒には口内をリフレッシュさせる効果があるため、料理の合間に飲むことで、次の料理をさらに美味しく味わうことができる長所もあるようです。

余韻の長さを評価するワインに対して、日本酒はキレの速さが評価される傾向にあります。消え際を評価する独特の感性は、花火が打ち上がる一瞬の美しさを愛でるような、日本的な価値観のひとつといえるかもしれません。

キレのあるお酒を飲んでみよう!

キレの良い酒として今回紹介するのは、新潟県・宮尾酒造の「〆張鶴 純米吟醸 山田錦」。「〆張鶴」のなかでも、一段とキレの良さを感じられる1本です。

「〆張鶴 純米吟醸 山田錦」(宮尾酒造/新潟県)

720ml 1,770円/1,800ml 3,500円(税抜) ※ 1,800mlの箱は別売

原料米である「山田錦」の優しい甘味と旨味を、伸びやかな辛口の味わいが引き締めてくれます。少し冷やしたほうが、よりキレの良さを感じやすいでしょう。

いろいろな酒を飲み比べて「この酒はキレが良いね」なんて言えると、ちょっと粋でかっこいいかもしれませんね。今夜はぜひ、キレの良い日本酒をお楽しみください。

(文/小林健太)

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