世界最大規模で、かつ、もっとも影響力のあるワイン品評会「IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)」は、7月7日(金)にロンドンで、2017年度のSAKE部門「チャンピオン・サケ」を発表しました。

IWCに「SAKE部門」が誕生したのは2007年。以来、SAKE部門の受賞酒は、"外国人の口にも合う日本酒"として国内外で注目を集め、日本酒の海外進出における重要なイベントとして、その価値を高めてきました。

2017年のSAKE部門は、1245点が出品。出品酒は9つのカテゴリーに分けて審査され、結果に応じて「ゴールドメダル」「シルバーメダル」「ブロンズメダル」「大会推奨酒」の4つの評価が与えられました。

さらに、ゴールドメダルを獲得した56点の中で、各部門ごとに特に優れたものに対して「トロフィー」の栄誉が与えられ、その「トロフィー」を獲得した中からたったひとつの銘柄に、SAKE部門の最高賞として「チャンピオン・サケ」の称号が授けられます。

また、シルバーメダル、ゴールドメダル受賞酒の中で、日本での小売価格が1000円以下、かつ生産量が四合瓶換算で10万本以上という優れたコストパフォーマンスを発揮した酒に与えられるのが「グレートバリュー」。こちらも同様に、ひとつの銘柄が「グレートバリュー・アワード」に選出されます。

チャンピオン・サケは「南部美人 特別純米」(南部美人/岩手)

明治35(1902)年に岩手県二戸市で創業した株式会社南部美人は、「品質一筋」を経営理念に、南部杜氏の技術と伝統を受け継いだ、地域密着の農商工連携による酒造りに取り組んでいます。その一方で平成9(1997)年に、いち早く海外へ進出し、現在では多数の国で「サザンビューティー」の名称で親しまれています。

今回受賞した「南部美人 特別純米」は、二戸市産の岩手県オリジナル酒造好適米「ぎんおとめ」を使用。地元産のお米と地元・折爪馬仙峡の伏流水で醸した、究極のテロワールを誇る酒だそう。審査員からは「豊かで深みがある中に、爽快でフローラルな特徴を持ち、ベルベットの様な口触り」と評されています。

グレートバリュー・アワードは「一ノ蔵 無鑑査本醸造 甘口」(株式会社一ノ蔵/宮城)

「グレートバリュー・アワード」とは、シルバー・ゴールドメダル受賞酒で、日本での小売価格が1000円以下、かつ生産量が四合瓶換算で10万本以上という優れたコストパフォーマンスを発揮した銘柄に与えられる賞です。

株式会社一ノ蔵は、昭和48(1973)年に4つの酒蔵が合同会社として宮城県に立ち上げました。創業当時から「良い米を使い、手間暇をかけ、良い酒を造る」という姿勢を貫き、日本酒造組合が定める「手づくりの条件」を満たす伝統の技を生かし続けています。

「一ノ蔵 無鑑査本醸造 甘口」は、級別制度時代に国の鑑査に申請せず、品質の優良な本醸造酒を税金の安い二級酒として売り出し「本当に鑑定されるのはお客様自身です」とラベルに明示した酒。「ミディアムボディーで、その洗礼された甘い果実の味覚とセイボリーの感覚に審査員は感銘した。品質は価格設定が信じられないほどである」と評されています。

サケ・ブリュワリー・オブ・ザ・イヤーは「株式会社一ノ蔵」(宮城)

サケ・ブリュワリー・オブ・ザ・イヤーは「株式会社一ノ蔵」が受賞し、グレートバリュー・アワードも合わせて2冠を達成しました。2つのトロフィーとゴールドメダル、2つのシルバーメダル、2つのブロンズメダルを大吟醸、純米大吟醸、古酒、スパークリングの4カテゴリーで受賞を果たしたことが評価されました。

IWCイベント・ダイレクターであるクリス・アシュトン氏は今回の結果について、「日本酒はまさに多様で魅力的な飲み物である。毎年IWC日本酒部門を通して、新たに日本酒に恋に落ちてしまう理由を発見します。我々の厳密なアプローチと国際的な審査員は世界で認められる実に特有な審査会を作り出します。『南部美人』はチャンピオンの受賞で、世界的な注目を集める事ことなり、『一ノ蔵』は美味しい日本酒をリーズナブルな価格で見つけられることを証明してくれました」と、コメントを寄せています。

IWC2017「SAKE部門」受賞酒一覧

※「県名トロフィー/地名トロフィー」:「トロフィー」銘柄にはわずかに及ばなかったものの、高い評価を得た、産地が異なる次席の銘柄に授与されるもの

◎サケ・ブリュワリー・オブ・ザ・イヤー

「株式会社一ノ蔵」(宮城)

  • グレートバリュー・アワード:「一ノ蔵 無鑑査本醸造 甘口」
  • 純米大吟醸部門/ブロンズメダル:「一ノ蔵 蔵の華 純米大吟醸」
  • 大吟醸酒部門/ブロンズメダル:「一ノ蔵 大吟醸 玄昌」
  • 本醸造部門/本醸造トロフィー・ゴールドメダル:「一ノ蔵 無鑑査本醸造 甘口」
  • 古酒部門/宮城古酒トロフィー・ゴールドメダル:「一ノ蔵 Madena」
  • スパークリング部門/シルバーメダル:「一ノ蔵 すず音 Wabi」
  • スパークリング部門/シルバーメダル:「一ノ蔵 発泡清酒 すず音」

◎チャンピオン・サケ

純米トロフィー:「南部美人 特別純米」株式会社南部美人(岩手)

◎純米酒 部門 (総出品数:241 ゴールドメダル受賞数:5)

<トロフィー>

  • 純米トロフィー:「南部美人 特別純米」株式会社南部美人(岩手)
  • 福井・純米トロフィー:「梵・純米 55」合資会社加藤吉平商店(福井)
  • 三重・純米トロフィー:「鈿女 特別純米」伊藤酒造株式会社(三重)

<ゴールドメダル>

  • 「南部美人 特別純米」株式会社南部美人(岩手)
  • 「出羽桜 一耕」出羽桜酒造株式会社(山形)
  • 「梵 ・純米 55」合資会社加藤吉平商店(福井)
  • 「鈿女 特別純米」伊藤酒造株式会社(三重)
  • 「作 穂乃智」清水清三郎商店株式会社(三重)

◎純米吟醸酒 部門 (総出品数:239 ゴールドメダル受賞数:11)

<トロフィー>

  • 純米吟醸トロフィー:「純米吟醸 からはし 山田錦」ほまれ酒造株式会社(福島)
  • 福島・純米吟醸トロフィー:「自然酒 純米吟醸」有限会社仁井田本家(福島)
  • 茨城・純米吟醸トロフィー:「渡舟 純米吟醸 ふなしぼり」府中誉株式会社(茨城)
  • 長野・純米吟醸トロフィー:「大信州 N.A.C. ひとごこち」大信州酒造株式会社(長野)

<ゴールドメダル>

  • 「出羽桜 つや姫」出羽桜酒造株式会社(山形)
  • 「純米吟醸 からはし 山田錦」ほまれ酒造株式会社(福島)
  • 「笹正宗 純米吟醸」笹正宗酒造株式会社(福島)
  • 「自然酒 純米吟醸」有限会社仁井田本家(福島)
  • 「渡舟 純米吟醸 ふなしぼり」府中誉株式会社(茨城)
  • 「蔵人栽培米 純米吟醸 妙高山 ‐八十八‐」妙高酒造株式会社(新潟)
  • 「大信州 N.A.C. ひとごこち」大信州酒造株式会社(長野)
  • 「大信州 手の内 純米吟醸」大信州酒造株式会社(長野)
  • 「熟成酒 花の舞」花の舞酒造株式会社(静岡)
  • 「古伊万里 前 純米吟醸」古伊万里酒造有限会社(佐賀)
  • 「鍋島 純米吟醸 雄町」富久千代酒造有限会社(佐賀)

◎純米大吟醸酒 部門 (総出品数:341 ゴールドメダル受賞数:14)

<トロフィー>

  • 純米大吟醸トロフィー:「金雀 40%」有限会社堀江酒場(山口)
  • 秋田・純米大吟醸トロフィー:「太平山 純米大吟醸 天巧」小玉醸造株式会(秋田)
  • 岡山・純米大吟醸トロフィー:「燦然 純米大吟醸」菊地酒造株式会社(岡山)
  • 栃木・純米大吟醸トロフィー:「菊 純米大吟醸」株式会社虎屋本店(栃木)

<ゴールドメダル>

  • 「浦霞 純米大吟醸 M」株式会社佐浦(宮城)
  • 「太平山 純米大吟醸 天巧」小玉醸造株式会社(秋田)
  • 「山形正宗 藍」株式会社水戸部酒造(山形)
  • 「辯天 21 純米大吟醸原酒」合資会社後藤酒造店(山形)
  • 「秀鳳 純米大吟醸 雪女神」秀鳳酒造場(山形)
  • 「澤姫 下野純米大吟醸」株式会社井上清吉商店(栃木)
  • 「菊 純米大吟醸」株式会社虎屋本店(栃木)
  • 「龍神 純米大吟醸」龍神酒造株式会社(群馬)
  • 「木曽路 純米大吟醸」株式会社湯川酒造店(長野県)
  • 「英勲 一吟 純米大吟醸」斎藤酒造株式会社(京都)
  • 「春鹿 純米大吟醸原酒」株式会社今西清兵衛商店(奈良)
  • 「燦然 純米大吟醸」菊地酒造株式会社(岡山)
  • 「金雀 40%」有限会社堀江酒場(山口)
  • 「石鎚 純米大吟醸」石鎚酒造株式会社(愛媛)

◎本醸造 部門 (総出品数:49 ゴールドメダル受賞数:3)

<トロフィー>

  • 本醸造トロフィー:「一ノ蔵 無鑑査本醸造 甘口」株式会社一ノ蔵(宮城)
  • 佐賀・本醸造トロフィー:「鍋島 特別本醸造」富久千代酒造有限会社(佐賀)

<ゴールドメダル>

  • 「一ノ蔵 無鑑査本醸造 甘口」株式会社一ノ蔵(宮城)
  • 「仁勇 ぎんから」鍋店株式会社(千葉)
  • 「鍋島 特別本醸造」富久千代酒造有限会社(佐賀)

◎吟醸酒 部門 (総出品数:25 ゴールドメダル受賞数:2)

<トロフィー>

  • 吟醸トロフィー:「開運 吟醸 山田錦」株式会社土井酒造場(静岡)

<ゴールドメダル>

  • 「龍神 隠し吟醸」龍神酒造株式会社(群馬)
  • 「開運 吟醸 山田錦」株式会社土井酒造場(静岡)

◎大吟醸酒 部門 (総出品数:193 ゴールドメダル受賞数:10)

<トロフィー>

  • 大吟醸トロフィー:「辯天 極上 大吟醸原酒 山田錦」合資会社後藤酒造店(山形)
  • 秋田・大吟醸トロフィー:「雪の茅舎 花朝月夕」株式会社齋彌酒造店(秋田)
  • 広島・大吟醸トロフィー:「本洲一 大吟醸原酒」合名会社梅田酒造場(広島)

<ゴールドメダル>

  • 「雪の茅舎 花朝月夕」株式会社齋彌酒造店(秋田)
  • 「辯天 極上 大吟醸原酒 山田錦」合資会社後藤酒造店(山形)
  • 「大吟醸 『寿久蔵』」寿虎屋酒造株式会社(山形)
  • 「会津ほまれ 大吟醸酒」ほまれ酒造株式会社(福島)
  • 「四季桜 万葉聖」宇都宮酒造株式会社(栃木)
  • 「菊泉 大吟醸」滝澤酒造株式会社(埼玉)
  • 「沢の鶴 大吟醸 春秀」沢の鶴株式会社(兵庫)
  • 「大吟醸 極聖」宮下酒造株式会社(岡山)
  • 「窮極の醉心 大吟醸」株式会社醉心山根本店(広島)
  • 「本洲一 大吟醸原酒」合名会社梅田酒造場(広島)

◎古酒 部門 (総出品数:52 ゴールドメダル受賞数:4)

<トロフィー>

  • 古酒トロフィー:「談山 貴醸酒 累醸酒」西内酒造(奈良)
  • 宮城・古酒トロフィー:「一ノ蔵 Madena」株式会社一ノ蔵(宮城)

<ゴールドメダル>

  • 「一ノ蔵 Madena」株式会社一ノ蔵(宮城)
  • 「山吹 ゴールド」金紋秋田酒造株式会社(秋田)
  • 「出羽桜 枯山水 10年熟成」出羽桜酒造株式会社(山形)
  • 「談山 貴醸酒 累醸酒」西内酒造(奈良)

◎スパークリング 部門 (総出品数:50 ゴールドメダル受賞数:2)

<トロフィー>

  • スパークリングトロフィー:「出羽桜 とび六」出羽桜酒造株式会社(山形)

<ゴールドメダル>

  • 「出羽桜 とび六」出羽桜酒造株式会社(山形)
  • 「羽根屋 純米大吟醸 スパークリング」富美菊酒造株式会社(富山)

◎普通酒 部門 (総出品数:55 ゴールドメダル受賞数:5)

<トロフィー>

  • 普通酒トロフィー:「聖徳 別撰」聖徳銘醸株式会社(群馬)
  • 千葉・普通酒トロフィー:「不動 軽快辛口」鍋店株式会社(千葉)
  • 長野・普通酒トロフィー:「渓流 蔵囲い」株式会社遠藤酒造場(長野)

<ゴールドメダル>

  • 「聖徳 別撰」聖徳銘醸株式会社(群馬)
  • 「不動 軽快辛口」鍋店株式会社(千葉)
  • 「渓流 蔵囲い」株式会社遠藤酒造場(長野)
  • 「蓬莱 上撰」有限会社渡辺酒造店(岐阜)
  • 「梅錦 秀逸」梅錦山川株式会社(愛媛)

◎グレートバリューアワード

シルバー・ゴールドメダル受賞酒の中で、日本での小売価格が1000円以下、かつ生産量が四合瓶換算で10万本以上という優れたコストパフォーマンスを発揮した酒に与えられる賞。

本醸造トロフィー:「一ノ蔵 無鑑査本醸造 甘口」株式会社一ノ蔵(宮城)

<グレートバリュー>

  • 「一ノ蔵 無鑑査本醸造 甘口」株式会社一ノ蔵(宮城)
  • 「聖徳 別撰」聖徳銘醸株式会社(群馬)
  • 「不動 軽快辛口」鍋店株式会社(千葉)
  • 「渓流 蔵囲い」株式会社遠藤酒造場(長野)
  • 「蓬莱 上撰」有限会社渡辺酒造店(岐阜)

受賞された蔵元様、誠におめでとうございます!

(文/SAKETIMES編集部)

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