代表銘柄「甲子(きのえね)」などの美酒を醸しながら、お土産屋とレストラン、ギャラリーを兼ね備える複合施設「酒々井まがり家」や、外国人向けの酒蔵ツーリズム、さらには海外米国子会社設立など、新規性の高い展開をみせる千葉県酒々井町の酒蔵・飯沼本家。
そんな飯沼本家が、今度は酒蔵見学を有償化し、酒蔵をより楽しむことができるサービスを始めたらしい! 一般的には無料なことが多い酒蔵見学ですが、飯沼本家では参加費を払ってどんな体験ができるのでしょうか…
さっそく新しくなった酒蔵見学を体験すべく、飯沼本家を訪れました。
実物を見ながら酒造りの勉強ができる!
飯沼本家に到着しました!
酒蔵見学は個人(10名以下)500円、団体(10名以上)300円。現在、3日前までの事前予約制となっています。とても安い値段ですが、どのくらい楽しめることができるのでしょうか?
この日は、某町内会のみなさまとのツアーにご一緒しました。
本日、蔵を案内していただくのは、杜氏として飯沼本家の日本酒造りを率いる川口幸一さん。造りにおける最高責任者です。
飯沼本家の酒蔵見学ガイドは、5名の蔵人さんが交代で行っているそうです。それぞれ個性があり、説明の仕方やツアーの内容も異なります。ガイドの方によって、違った酒蔵見学が楽しめそう…!
まずは、見学する酒蔵のロビーに集合します。ロビーには、飯沼本家の歴史と酒蔵全体地図のパネルが展示されており、ちょっとした博物館のよう。また、歴代銘柄もずらっと並び、長い歴史を感じることができます。
川口さんが、飯沼本家の歴史を説明してくれます。飯沼本家は350年続く酒蔵で、酒々井という土地の発展とともに成長していきました。(詳しくはこちらの記事へ!)
敷地内の蔵は、明治時代建設のものから平成初期に新たに建設したものまで様々だそうです。
一同、川口さんの説明に耳を傾けます。
次に、お酒造りの工程を説明してもらいます。
ざっくり言うと日本酒は、
- 1. 米を蒸す
- 2. 蒸しあがった米で麹を造る
- 3. 麹と水で酒母を造る
- 4. 酒母の中に酵母が増えたら、水と麹をさらに発酵させ醪を造る
- 5. 醪を20日〜30日発酵させ、搾る
という工程で完成します。
とてもわかりやすいイラストが描かれているパンフレットを手に説明を聞きます。
とってもわかりやすい!酵母が強そうで、かつかわいいですね。ちなみに裏を見ると…
英語で書かれている!SAKE MAKING PROCESS!海外のお客様にも楽しんでいただけるよう、英語版も用意しています。さすがグローバルに事業展開する飯沼本家。
導入も終わったところで、さっそく酒蔵へと入ります。
まずは「精米」から勉強します。
川口さんが取り出したのは丸みを帯びた米。よくみると中心部が白色です。
この「心白」と呼ばれる白い部分にデンプンが集中し、光が乱反射して白くみえるそう。デンプンが麹菌の力によりブドウ糖になり、さらに酵母がブドウ糖を食べることでアルコールが分泌されます。
私たちがいつも食べる白米は、玄米を90%ほど精米したもの。一方で日本酒造りにおいては、多くの場合70%以下に精米します。米を削る理由は、玄米に含まれるタンパク質が酒造りの工程中でアミノ酸になり、日本酒に雑味をもたらしてしまうから。精米率が高い(=米をあまり削らない)ほど本来の米の味がしっかり残り、低いほどすっきりとした味わいになる傾向があります。
「ラベルに書いているパーセンテージはそういう意味だったんだ」みなさま深くうなずき、とても真剣に聞き入ります。
次は「麹」です。蒸したお米に麹菌を付け、43度あるサウナのような部屋で10時間ほど置いたあと、そのまま温度管理を保ちつつ2日ほど作業を行い、麹が完成します。
できた麹はこちら。
白くパラパラした手触りです。
(食べてみよう)
あまい!!!
(アップすいません)
麹には白米の数倍ほどの甘さがあり、昔ながらのお菓子(麩菓子)みたいな味がしました。
次は「醪(もろみ)」です。水と麹、酵母を発酵させて醪をつくり、さらに20~30日発酵させます。これを搾ると、清酒が完成します。
醪は現在発酵中。タンクの中を覗きます。
飯沼本家には醪用タンクが8本あり、造りのピーク時には、すべてのタンクを使用します。今回は一番大きなタンクを覗き見。
こちらのタンクで容量は30キロリットル。この醪で20キロリットルほどの清酒が完成します。20キロリットルという数字だけだと想像つきませんが、一升瓶にすると約11,000本ほど。すさまじい量ですね。
中はこのように白くなっており、お酒の香ばしい香りが漂います。
醪は20日ほどで発酵が終わり、搾りに入るそう。うー、はやく飲みたい!
ちなみに私が感動したことをご紹介すると、蔵の中は階段の上り下りが激しいので、お年寄りやお子様のためにエレベーターが設置されています。
「足腰が弱いから助かるわー」と参加者の方々。ホスピタリティーに溢れていますね。
待ってました!利き酒タイム
蔵見学が終わると、明治蔵へと移動します。
明治蔵は、明治時代に建てられ酒造りが行われていた酒蔵です。現在はイベントホールや特設ギャラリーなどの複合施設として利用されています。
明治蔵に向かう途中、搾った清酒を火入れしていました。
火入れとは、搾ったお酒を加熱して殺菌することです。ラムネのようで何だかかわいいですね。
酒蔵倉庫や瓶詰を行う倉庫を抜け、明治蔵の階段を上がると…
そこには……
輝く利き酒セットが!!
3種類の日本酒が用意されています。それぞれアルコール度数・精米歩合・日本酒度などが異なり、味の違いを楽しむことができます。
川口さんが、3種類のお酒についての説明をしてくれます。純米大吟醸・純米酒・普通酒、それぞれの造りの違いを学びます。
それぞれの違いを知らずに飲んでいた方が多いようで「ほぉ…なるほど」と感嘆の声が漏れます。
一方で私は、
飲みたくて仕方ありません。説明を聞きながらじっと日本酒を見つめます。
説明が終わり、「ではさっそく、味の違いを感じてください」と Go の声が!
ありがとう!それでは、まずは香りから楽しみましょう。
(いただきます…)
うおおおお……!(感嘆)
この動作を×3。美味しゅうございました。
そして、お酒の供といえば団欒!利き酒をしながら、参加者の方々とお話しします。
「どこからきたんねー?」から始まり、「わしが若い時はねぇ…」という話に華が咲き、とても盛り上がる会場。
酒は人と人を結ぶ繋ぎ目だなぁと、楽しい会話を弾ませながら改めて思いました。
そのあとも、さらに日本酒レクチャーが続きます。
「日本酒の辛口・甘口はどうやって決まっているのでしょうか?」このテーマを詳しく学びます。
日ごろ、「辛口が好きなんだよね」「これは甘めだね」とドヤ顔で言っているみなさま、その意味を本当に知っていますか…?
「どうやって辛さが決まるの?」という質問にしっかり答えることができるように、飯沼本家の酒蔵見学で勉強してみてはいかがでしょうか。
利き酒で使用した飯沼本家おちょこは、ひとり1個プレゼントとして持ち帰ることができます。おちょこが自宅にあれば、家でも日本酒を楽しみたくなりますよね。
勉強会は、私たちが”知っているようで知らないこと”を学ぶことができる場でした。理解を深めた後に日本酒を飲むと、いままで以上にお酒を楽しめるはずです。
試飲で気に入った日本酒をすぐ購入!
蔵見学のあとは、「酒々井まがり家」へ。
すっかり仲良くなり、世間話をする参加者の方と私。
「酒々井まがり家」は、正門のすぐ近くにあります。
「さっき試飲したこれが美味しかったねー」と言いながら、思い思いにお買い物を楽しむみなさん。
最後に集合写真をパシャリ。「また息子夫婦連れてくるべー!」と、笑顔いっぱいで帰られました。
こうして酒蔵見学は2時間ほどで終了しました。
贅沢な3種類の利き酒はもちろん、日本酒造りの工程から基礎知識まで幅広く学べる飯沼本家の酒蔵見学は、日本酒をもっと好きになる要素満点のエンターテイメントでした!これで500円はとてもお得。デートや海外からのお客様にも大変喜ばれそう。
みなさま、ぜひお試しあれ!
◎ 飯沼本家 酒蔵見学詳細
- 参加費:個人(10名以下)500円 / 団体(10名以上)300円 ※いずれも2勺のぐい呑みプレゼント
- 申込み:3営業日前までの事前予約必須 ※当日予約不可
- 開催日時:1日1回 13:30〜
- 予約方法:[TEL] 043-496-1001 または [Mail] kinoeneclub@iinumahonke.co.jp
(取材・文/石根ゆりえ)
sponsored by 株式会社飯沼本家
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