―トンネルを抜けると、そこは雪国であった。

耳馴染みのあるフレーズから始まる川端康成の『雪国』。その舞台が、新潟県の越後湯沢だということをご存知でしょうか。昔から交通の要地として栄えてきた越後湯沢。今でも温泉やスノースポーツなどのレジャー施設が充実しています。

そんな越後湯沢での滞在を楽しむうえで、忘れてはいけないのが日本酒です。米どころと言われる新潟県の中でも、使用する"水"によってその味わいは千差万別。越後湯沢の日本酒も淡麗辛口で有名ですが、その限りではありません。

1855年創業の歴史を誇る白瀧酒造の造るお酒は、いずれも“角がとれて丸い”口当たりに定評があり、日本酒に馴染みがない方でも楽しめる味わいです。

日本酒とともに発展を遂げてきた越後湯沢。今回はその中でも特に飲みやすい「白瀧酒造の日本酒」を軸に、日帰りで楽しめる越後湯沢のおすすめスポット9選をご紹介していきます。

創業から80余年続く「しんばし」で嗜む"へぎ蕎麦"と日本酒

電車から降りて目の前に広がる雪景色を見ると、ずいぶん遠くまで来たように感じますが、東京から越後湯沢までは新幹線で1時間半ほど。朝起きてから思い立ってもお昼前には到着します。

お昼どきに湯沢に着いて、まず訪れてほしいのは蕎麦の店「しんばし」。上越線が開通した昭和初期に開業して以来80余年もの間、手作りの理念を守り、変わらぬ手打ちの美味しさを提供し続けています。

カウンター席、テーブル席のほかにお座敷がある広い店内には、お昼どきを過ぎた平日にも関わらず、お客さんがちらほら。地元の方に愛されているお店だと見てとれます。

注文したのは新潟県魚沼地方発祥の「へぎ蕎麦」と「身欠きニシンの煮つけ」。

へぎ蕎麦とは、"へぎ"という器に乗っている蕎麦のこと。ふのりを使っているのも特徴のひとつで、ここ「しんばし」では越後湯沢、南魚沼産の蕎麦の実を自家製粉している点にもこだわりがあるのだとか。

甘じょっぱく煮た「身欠きにしんの煮つけ」も越後湯沢にゆかりのある料理のひとつ。白瀧酒造初代当主の湊屋藤助さんも、酒場に来るお客様に振る舞っていたというお話が残っています。越後湯沢で長く愛されてきた郷土料理なのですね。

それにしても、4人前のへぎ蕎麦の絵は圧巻。迫力があります。

そして、蕎麦に合うお酒と言ったらやはり日本酒。米どころである越後湯沢まで来て、日本酒を飲まずに帰る手はありません。

「しんばし」にある白瀧酒造のお酒の中でも特にオススメなのは「越淡麗の上善如水」。地元限定の銘柄であるうえに、「高橋屋」や「長田屋商店」といった限られた店舗にしか流通していない珍しいこのお酒は、現地に足を運んだ方だけが飲める逸品なのです。

純米大吟醸にして中口の淡麗を謳う「越淡麗の上善如水」ですが、ほんのりとした甘さが印象的でした。

地元の水を使った蕎麦と日本酒のマリアージュを楽しめるのは、まさに至福のひととき。すっかりお腹がいっぱいになりましたが、旅はまだまだこれから。次のスポットに向かいましょう!

「いなもと」の足湯美白「からかさ亭」

越後湯沢駅西口から徒歩2分の場所にある、湯沢温泉の源泉掛け流しのお宿「いなもと」。その庭園の中にある足湯「からかさ亭」は 、ホッとひと息つける癒しの場所です。旅館の中にも天然温泉がありますが、限られた時間で温泉地の風情を楽しみたいという方にはおすすめのスポットです。

スイーツも扱う酒販店「MITSUBAYA」で買える"幻の日本酒ケーキ"

次に訪れたのは酒販店「MITSUBAYA」。先ほどご紹介した「しんばし」と同じように創業から80年ほど続いている老舗です。

地元酒蔵の銘柄が中心に取り揃えられています。白瀧酒造のコーナーは、季節ものの商品や限定品もあるバラエティ豊かな品揃えでした。

そして、驚くなかれ。MITSUBAYAは酒販店でありながら、同じ店内でケーキや焼き菓子を売っている異色コラボを実現しているお店なのです。

「どうしてお酒とケーキを一緒に取り扱っているんですか?」と素朴な疑問をぶつけてみると、「お菓子作りにも興味があったから」と女将さん。女将さんの"好き"が、一般に淡麗辛口と言われる越後湯沢の日本酒と甘いお菓子とを結び付け、「甘辛」なお店として、地域の人に愛されてきたようです。

そして、日本酒とお菓子が融合した商品も生まれています。こちらのシフォンケーキは、白瀧酒造の「湊屋藤助」とコラボレーションした逸品。

市場に出回っているリキュールケーキはほんのり風味付けがされているものがほとんどですが、このケーキは日本酒に直接浸しているので、食べた瞬間にじゅわっと日本酒酒の味わいが広がり、実際にお酒を飲んでいると錯覚してしまうほどでした。

この「湊屋藤助ケーキ」は、MITSUBAYAが白瀧酒造の当時の社長に「ケーキを作らせてほしい」と直々にお願いして実現したのだとか。このエピソードからも地域に根差した酒蔵と酒販店の結びつきの強さが垣間見えますね。

そのほか、同じく湊屋藤助の酒ゼリーも提供しているというMITSUBAYA。実家さながらの居心地の良さに、ついつい長居してしまったのでした。

『雪国』の文化に触れる「歴史民俗資料館」

MITSUBAYAの目の前には、「湯沢町歴史民俗資料館(雪国館)」 があります。これは、湯沢が舞台となった川端康成の小説『雪国』と、「雪国」湯沢の暮らしぶりや、歴史を中心とした展示をしている資料館です。

JR越後湯沢駅周辺にある3つの文化施設を1,000円で見てまわることができるお得なセット券『ぶらりミュージアム散歩』を雪国館で販売中とのこと。詳しくは、こちらをご覧ください。

白瀧酒造本社のショールームで貴重な銘柄を試飲!

続いてやってきたのは「白瀧酒造」の本社。日本酒は人里離れたところで粛々と造られているイメージがあるかもしれませんが、白瀧酒造は越後湯沢駅から歩いて3分ほどと、実は立地も良いのです。

しかし、なぜ酒蔵の本社に? と思われた方もいらっしゃるでしょう。実はこの白瀧酒造本社3階のショールームでは、誰でも無料で白瀧酒造製品の試飲ができるのです!

今回試飲させていただいたお酒はこちら。月ごとに変わる「12ヶ月の上善如水」の商品と、杜氏渾身の銘柄「真吾の一本」、そして「上善如水25周年」の記念商品です。限定品も含めた常時15本ほどの豊富なラインナップから、試飲するお酒を選べます。

試飲後は気に入ったお酒をその場で購入できるのも嬉しいポイント。また、白瀧酒造の本社では蔵見学(要予約)もできるとのことでした。

白瀧酒造の酒造りをその目で見られるのは、当然ながら白瀧酒造本社だけ。蔵見学や試飲に興味のある方は、まずは白瀧酒造のホームページをご覧ください。

お酒好きなら一度は来たい、日本酒のユートピア「ぽんしゅ館」

次にやってきたのは、越後湯沢駅内にある「ぽんしゅ館」。日本酒好きなら一度は行ってみたい日本酒の聖地です。

館中には、新潟県内選りすぐりのお酒が販売されている「駅の酒蔵」のほか、麴文化の越後ならではの「麹カフェ」、日本酒を薄めた酒風呂「湯の沢」など、お酒にまつわる施設が密集しており、まさに「お酒のミュージアム」と言うにふさわしい場所です。

店内には、実に多くの日本酒と、湯沢ゆかりの食べ物や製品もズラリと並び見応え十分。これだけあると、何を買おうか迷ってしまいます。

そして、日本酒ファンの皆様、お待たせしました! こちらが知る人ぞ知る「越乃室 」。新潟県の酒蔵が造る120種もの日本酒が利き酒できるコーナーです。

500円で5枚のコインと引き換えができ、お目当ての銘柄のマシンに所定枚数のコインを入れてスイッチを押すと、おちょこ1杯分の日本酒が注がれる仕組み。

少しずつ飲み比べできる楽しみはもちろん、コインを入れてボタンを押す瞬間のワクワクはクセになりそう。美味しさと楽しさのあまり飲み過ぎてしまわないよう、お気を付けくださいね。

ゲレンデ併設の日帰り天然温泉「コマクサの湯」

酔い覚ましにちょっと温泉に浸かりたい、というときは、湯沢高原スキー場ロープウェイステーション内にある「コマクサの湯」がおすすめ。200円で借りられるレンタルタオルセットもあるので、手ぶらで入浴できます。

温泉施設内はこんな感じ。ちなみに、この湯沢高原スキー場にはゲレンデのほか、「スノーストライダー」や「スノーチュービング」で遊べる「スノーランド」があり、雪山で湯沢の冬を満喫した後に温まる、というコースもおすすめです。

湯沢に惚れ込み30年。移住者の店主が営む居酒屋「風の谷HEAVEN」

お昼過ぎから始まった越後湯沢の日本酒めぐりですが、日が傾きかけてそろそろ終盤。たらふく飲んできたものの、何だかお腹が空いてきてしまいました。

越後湯沢の夜を締めくくるのは、「風の谷HEAVEN」。エッジの効いた店名のこのお店は、新潟県の食材を使った料理が多く、地元の方はもちろん、観光客にも人気が高いお店なのだそうです。

中に入ると、出迎えてくれたのは店主の長井豊さんとスタッフの方々。実はこちらのご主人は、新潟市の出身。越後湯沢の土地柄に惚れ込み、30年ほど前に移住したのだと言います。

「大好きな越後湯沢の土地と食材を使って商売がしたい」と28年前より飲食店を次々と手掛け、11年ほど前より今の居酒屋の形態を続けているそうです。

そんな店主の愛が込められたメニューは「のどぐろの塩焼き」や「鮭の皮パリッと揚げ」など、酒の“アテ”になるものばかり。地元の食材をふんだんに使っているのはもちろん、オリジナリティ溢れるここでしか食べられない料理が多いのも、旅行者には嬉しいですね。

そして、ここでも日本酒を1杯。取り扱いのある白瀧酒造のお酒は「魚沼」。"辛口然"としていながら、やはり後味が柔らかいのが印象的。塩気のある魚のおつまみに日本酒がよく合います。

湯沢の食材、湯沢の日本酒を味わって、この笑顔。口の中いっぱいに湯沢を感じながら、越後湯沢の日帰り日本酒めぐりを終えるのでした。

「松泉閣 花月」館内の「上善BAR」で楽しむライトな日本酒カクテル

今回は日帰りのコースでしたが、宿泊の場合は「松泉閣 花月」という旅館がオススメ。温泉の種類が豊富で、四つの露天風呂、二つの内風呂 釜風呂、貸切風呂など、館内にて温泉巡りを存分に楽しめます。

料理には地元産の食材がふんだんに使われ、スタッフの方が自ら育てた野菜が献立に登場 することもあるそうです。

また、「上善BAR」なるラウンジでは、白瀧酒造の看板商品である「上善如水」を使った全9種のカクテルを提供しています。日本酒に馴染みの薄い女性でもカジュアルに楽しめるカクテルは、新感覚の日本酒体験になること間違いなしです。

いつもと違った日本酒体験。次の休暇に越後湯沢を訪れてみませんか?

この地に根ざして162年、白瀧酒造の日本酒をめぐる越後湯沢の旅、いかがでしたか? 越後湯沢には、日本酒をごく自然に味わえる環境が整っているのです。

銘柄を飲み比べて、地域の食と合わせて、ケーキやゼリーで、と色々な楽しみ方ができる白瀧酒造の日本酒。お近くのお店で製品を買うのも良いですが、少し足を伸ばして、越後湯沢でいつもと違った日本酒体験をしてみてはいかがでしょうか。

(取材・文/佐々木ののか)

sponsored by 白瀧酒造株式会社

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