1990年の誕生以来、現在まで一貫して“初心者向け”を貫く「上善如水」には、あるひとつの信念があります。

それは、いつでもどこでも美味しい酒であること。

“入手困難”を謳う酒が人気を博し、スーパーやコンビニで買える酒は軽視されがちですが、“いつでもどこでも美味しい”の裏には徹底した品質へのこだわりがあるのです。

今回は、そんな品質を守る「上善如水」の酒造りにおける秘密を紹介します。

「一にも二にも品質管理」 不良品ゼロを目指す白瀧酒造の酒造り

コンビニやスーパーなどの大きな売り場へ展開するにあたり、厳しい品質基準をクリアしている白瀧酒造。品質管理のために実践している秘密には一体どんなものがあるのでしょうか。

実は、白瀧酒造がもっとも大切にしているのは「掃除」。基本的なことにも思えますが、徹底して続けることが品質管理に繋がるのだといいます。

朝出社して社員のみなさんがはじめにやることは外のゴミ拾い。「蔵内がキレイであれば問題ないだろう」という奢りはありません。それどころか、会社の敷地内から始まった掃除は敷地外の道路までに広がり、まわりを清掃してから仕事を始めます。

酒造りが始まってからも、白瀧酒造の衛生管理には一切の手抜きがありません。

その徹底ぶりは相当なもので、米を蒸す工程では午後から終業時間までのほとんどを蒸米機の掃除に費やすのだそう。「仕事3割、準備7割」と言われるほど、地道な掃除が作業の大半を占めていたんですね。

衛生面に加えて、商品そのものの品質管理にも余念がありません。不要な微生物の繁殖を防ぎ、品質とおいしさを保つ工夫が随所に散りばめられていました。

生酒を除くすべての商品は低温殺菌し、香味を劣化させないように急冷させ、空調のある倉庫で保管しています。

酒が出来上がってから行う瓶詰めの工程でも異物が入らないよう、細心の注意が払われます。たとえば、お酒のボトルはメーカーより仕入れた新瓶を洗浄したもの。これをさらに割れなどがないか、検査機で全数チェックしていきます。瓶充填も、塵や埃の入らないクリーンルーム内で人手を一切介さないラインで行い、さらに全数目視検査して異物混入を防いでいます。

さらには、発送ダンボールまで商品と考え、ラベルやパッケージ、ダンボールに至るまで、汚れやキズがないかチェック。最終製品となった商品も定期的な抜き取り検査をし、二重三重の確認を行っています。

こうした気の遠くなりそうな工程の末、商品はようやく店頭へ。スーパーやコンビニに並ぶ酒は厳しい審査をクリアした、高品質の証なのです。

味の決め手は"水"にあり

品質管理に全力を尽くす白瀧酒造のこだわりは、酒の上質な味わいとなって現れます。目指しているのは初心者向け、すなわち“誰が飲んでもおいしい酒”です。

その味わいの決め手は、水。

軟水といわれる新潟の水も、水流によって様々。同じ成分であっても、口に入れたときの雰囲気が異なり、その違いが「酒の“骨格”をつくる」のだと、酒を製造する最高責任者の山口杜氏は言います。

「白瀧酒造の水は“さわりがなくて、なめらかすぎる”ともいわれるほど、柔らかな口当たりなんです。新潟は 特に“淡麗辛口”の日本酒が主流ですが、白瀧酒造では使っている仕込み水の特性に逆らわず、できるだけそのままを活かした酒造りを実践しています」

酒造りの具体的な取り組みとして挙げられるのは「低温発酵」。低温でじっくり発酵させることで、上善如水の口当たりをさらになめらかにしつつ、甘みを引き立て、すっきりキレのある味わいに仕立てているのだと言います。

こうして水本来の特性を活かした酒造りを大事にしている白瀧酒造ですが、ときどきコクのあるタイプの酒に挑戦することもあるのだそう。しかし、どうしてもどこかやさしい、上善らしい味わいに落ち着くのだとか。

「水は“蔵の命”と言っても過言ではない、人間で言う『性格』みたいなものですね。何をしても変わらず、どうしても表れてしまうんです」

そんな水の性質を最大限に活かした酒造りが、広く“初心者”に愛されるやさしい味わいにつながっているようです。

攻めと守りと環境づくり ― 蔵人の技術を支えるもの

品質と味わいの保持・向上は社員全員が目指すところ。しかし、その出来を直接左右するのは、現場にいる蔵人たちの技術です。現在、16名いる白瀧酒造の蔵人をまとめるのは山口真吾杜氏。

酒造りの最高責任者として、山口杜氏は蔵人たちに「現場に任せる」ことを大事にしているのだと言います。

「大きなディレクションや酒質のゴール設計はしますが、細かい設計は現場に任せています。現場が“考える”ことを怠ると、白瀧酒造の味は守られていきませんからね」

最終的な判断は山口杜氏が下すものの、できるだけ現場に裁量権を持たせることにしているのだそう。そこには、造る人が変わっても同じ味を再現できるように、という未来への視点がありました。

このようにおいしさを“守り”、受け継いでいく一方で、常に変化を求め、“攻め”を忘れない社長の姿勢も、蔵人たちの技術向上に役立っているのだと山口杜氏は言います。

「うちの社長はチャレンジャーですからね。本当にいろいろな新しい酒の提案をされるのですが、一般的には造りのスタイルが決まっているので、最初言われたときはいつも“どうしようかな”と思ってしまいます。でも、いざやってみると案外、形にすることができるんですよね。新しいことに挑戦している分、他の蔵よりも蓄積できている技術は多いと思います」

「12ヶ月の上善如水」や「白こうじを使ったお酒」など、数多ある白瀧酒造の新しい取り組み。その中でも山口杜氏がもっとも印象に残っているエピソードとして「上善如水スパークリング」の開発秘話を話してくれました。

「スパークリングのときは大変でしたねぇ。3月に『にいがた酒の陣』というイベントでの先行発売、その翌月に全国発売を控えていたのに、設備が使えるようになったのは1月だったんですよ。営業も家庭用の炭酸機を持って得意先を回っていたみたいで“出たとこ勝負”でしたね。おかげで瓶詰めの工程に詳しくなりました。こうしてみんなで“同じ方向を見てモノづくりをする”というのは、とても楽しいです」

守るべきところは守りつつも、次の一手を打ち続ける社長の方針が、蔵人の技術とモチベーションの向上に強く結びついているようです。

次世代の蔵人のために、良いアウトプットが出せるような環境づくりも少しずつ整備していっているのだと言います。

「ベテランの蔵人には、後輩にどんどん教えるように言っています。昔は“若い蔵人には何もさせない”ことや、“50歳にならないと杜氏を任せない”こともありました。でも、センスの良し悪しもありますし、何より覚えたいという意志のある人は飲み込みが早いので、どんどん教えてあげたほうが良いと思っています」

今後の課題として「若い蔵人が育つ環境づくりを整備していきたい。社長も若いので、気持ちをわかってくれると思う」と話してくれた山口杜氏。

「技術を守る工夫」や「新しいことに挑戦し続ける姿勢」「後世が育ちやすい環境づくりの整備」が、白瀧酒造の次世代を担う蔵人たちの技術向上に貢献しているようでした。

普段何気なく見かける上善如水。“あって当たり前”のようにも思ってしまいがちな「いつでもどこでも美味しい」の裏側には、徹底した企業努力がありました。

今回ご紹介した工夫や想いを知り、改めて口にする「上善如水」のおいしさはきっと格別なもの。興味を持たれた方は、早速最寄りのお店に足を運んでみてはいかがでしょうか。

(取材・文/佐々木ののか)

sponsored by 白瀧酒造株式会社

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