「クラフトサケ」とは、日本酒の製造技術をベースにしながら、従来の日本酒にはない味や香りが楽しめる醸造酒のこと。酒税法上では「清酒」ではなく、「その他の醸造酒」や「雑酒」などに区分されます。
たとえば、フルーツやハーブなどの副原料を発酵過程で取り入れた「ボタニカルSAKE」や、もろみを搾る工程を経ない「どぶろく」などが、それにあたります。
2022年6月には、クラフトサケ醸造所による同業者組合「クラフトサケブリュワリー協会」が設立され、クラフトサケは、日本酒業界の内外で大きな注目を集めています。
この記事では、SAKETIMES編集部がこれまでに取材したクラフトサケ醸造所をご紹介します。
※この記事における「クラフトサケ」は、クラフトサケブリュワリー協会の定義をもとにした、「日本酒の製造技術をベースにしながら、従来の日本酒にはない味や香りが楽しめる醸造酒」という意味です。フルーツやハーブなどの副原料を発酵過程で取り入れた「ボタニカルSAKE」や、もろみを搾る工程を経ない「どぶろく」の一部などが、それにあたります。酒税法上では「清酒」ではなく、「その他の醸造酒」や「雑酒」などに区分されます。
稲とアガベ醸造所(秋田県男鹿市)
2021年、秋田県男鹿(おが)市にオープンした「稲とアガベ醸造所」は、新規での取得が可能な「その他の醸造酒免許」と、2020年度の法改正により新たに交付が認められた「輸出用清酒製造免許」を取得しています。
「その他の醸造酒免許」では、どぶろくを造るほか、清酒製造免許では造れない全麹酒(麹米のみで造ったお酒)や、副原料としてテキーラの原料であるリュウゼツランから採れるアガベシロップを添加したお酒を造っています。
LIBROM Craft Sake Brewery(福岡県福岡市)
福岡県福岡市で2020年にオープンした「LIBROM Craft Sake Brewery(リブロム クラフト サケ ブリュワリー)」では、「若者や日本酒に馴染みのない人でも気軽に飲めるお酒」というコンセプトのもと、副原料にエディブルフラワーやフルーツ、ハーブを使ったクラフトサケを造っています。
無色透明で背の低いボトルは、一見すると蒸留酒のよう。日本酒のイメージを払拭し、かつ、冷蔵庫で保管しやすいサイズにするのがねらいです。
haccoba(福島県南相馬市)
2021年に福島県南相馬市にオープンした「haccoba(はっこうば)」が造るのは、ビールの原料であるホップを添加したお酒。これは「花酛(はなもと)」と呼ばれる、かつて東北の一部で行われてきた伝統製法を取り入れたものです。
ホップの防腐効果がもろみの発酵を助けるとされていましたが、各家庭でどぶろく造りが禁止されたころから、徐々に廃れてしまった製法なのだそうです。
LAGOON BREWERY(新潟県新潟市)
新潟県・福島潟のほとりに立つ、2022年開業の「LAGOON BREWERY(ラグーン・ブリュワリー)」が目指すのは“街のパン屋さんのような酒蔵”です。
「その他の醸造酒」の製造免許を活用し、新潟産コシヒカリを使ったどぶろくのほか、麹を焙煎したスモーキーなSAKEや、地域の名産であるトマトを副原料としたクラフトサケを考案中です。
(編集:SAKETIMES)