今年1月の情報解禁とともに国内外で話題になった、世界的ロックバンドである「Foo Fighters(フー・ファイターズ)」と山形県・楯の川酒造のコラボレーション日本酒。その名は「Foo Fighters × 楯野川 純米大吟醸 半宵 碧」と「Foo Fighters × 楯野川 純米大吟醸 半宵 銀」です。
ニューアルバム「Medicine At Midnight」のリリースを記念して、アルバムの発売日である2月5日(金)に販売を開始しました。「半宵(はんしょう)」はアルバム名に入っている「Midnight」の直訳です。
結成から26年の間にグラミー賞で11冠を獲得し、総売上枚数が2,000万枚以上を記録するなど、世界中で絶大な人気を誇る「Foo Fighters」。そんなモンスターバンドとのコラボのきっかけや、商品化にあたってのこだわり、そして今回のコラボから見えた日本酒の可能性について、楯の川酒造のマーケティング部 北山幸輝さんにお話をうかがいました。
Foo Fightersから突然のオファー!
近年、他業種とのコラボが増えてきている日本酒業界。楯の川酒造も、2017年と2019年にフランスの人気バンド「Phoenix(フェニックス)」とのコラボ商品を販売しました。こちらも当時話題となりましたが、このコラボがあってこそ今回の共演が実現したのだと、北山さんは話します。
「Phoenixとのコラボを、Foo Fightersのチームが知ってくれていたみたいです。前回はフランスの取引先の方が繋いでくださったんですが、今回はなんと、Foo Fighters側から直接オファーがありました。会社の問い合わせフォームに連絡があったので、本当にびっくりしましたね」
楯の川酒造の代表取締役社長 佐藤淳平さんも、北山さん自身も大の音楽好きで、Foo Fightersの曲をよく聴いていたそうです。
「代表の佐藤は世代的にも大ファンで。オファーをいただいた瞬間、前のめりに『やります!』と返信しました。笑」
Foo Fightersはメンバー全員がお酒をよく飲むのだそう。ファンの間では、演奏前にお酒を嗜んでいる姿が知られていたそうですが、北山さんは彼らが日本酒にも興味があると知れてうれしかったそうです。
「ポップ」と「ロック」の2種類の味わい
蔵で造るすべての日本酒を純米大吟醸酒の規格にするなど、唯一無二のこだわりを持っている楯の川酒造ですが、今回のコラボ商品「Foo Fighters×楯野川 純米大吟醸 半宵 碧」「Foo Fighters×楯野川 純米大吟醸 半宵 銀」には、どんなこだわりが込められているのでしょうか。
「Foo Fightersのメンバーは、ガツンとした重厚感のある味わいを希望されていたんですが、楯野川の既存商品をいくつか試飲してもらうと、意外にも、うちが得意とする、すっきりとしたきれいな酒質を気に入っていました。調整を進める中で、Foo Fightersの音楽性をイメージしながら、すっきりとしたタイプと重厚感のあるタイプのふたつの日本酒を造ることになりました」
「半宵 碧」は、Foo Fightersのポップな面をイメージして造られた軽くて爽やかな飲み心地。「半宵 銀」は、骨太な曲を奏でるロックな面に注目して、ボリュームがありつつもキレのある味わいに仕上がっています。
「『碧』はふだん私たちが使い慣れている酒米(出羽燦々)を使用していますが、『銀』は雄町を使うことで、味わいのボリュームと酸味を出しました。また、『銀』は新しい試みとして、酵母は『きょうかい6号』と『9号系酵母』をブレンドしています。初めて挑戦する組み合わせでしたが、目指していた酒質になりました」
また、酒蔵の中にスピーカーを配置し、Foo Fightersの曲を聴かせながら酒造りをしたといいます。
「Foo Fightersとの間に入ってくれたソニーミュージックの方から、『日本酒に音楽を聴かせたらおもしろいんじゃないか』と提案があったんです。音楽を聴かせることによって、お酒の味わいがどう変化するのか、正直わかっていませんが、音の振動が、発酵に何かしらの作用をもたらしているのではないかと思います」
ラベルに書かれている文字の正体
また、味わいだけではなく、ビジュアルにもこだわりが詰まっています。目を引くのは、ラベルに書かれた謎の文字。これは、「Foo Fighters」のアルファベットを漢字のように組み合わせて作成したオリジナルロゴです。特に海外のファンから好評だそうです。
さらに、日本酒では珍しい塗装瓶を採用。ツヤのあるメタリックな水色と銀色が特徴的です。『碧』のボトルの水色は、Foo Fightersのボーカル&ギターであるデイヴ・グロールのギターの色を意識したそうです。
ファンの心を刺激する仕掛けが随所に施され、発売前から見事に話題になりました。Foo FightersのオフィシャルSNSが投稿したことをきっかけに、全世界からの問い合わせが殺到しているとのこと。予約の時点でどちらも既に完売してしまいました。
「エンタメを思うように楽しめない今だからこそ、多くの方に楽しんでいただきたいですね。海外ファンの方にも届けたいので、増産も決定しました」と、北山さんは今後の海外展開についても教えてくれました。
新たな日本酒体験を提供したい
学生時代の飲食店でのアルバイトをきっかけに「楯野川」と出会い、大学卒業まで暮らした地元・愛知県から移住する形で、楯の川酒造に入社した北山さん。もともと、かなりの音楽好きで、自分自身も楽器を演奏したり、音楽フェスに行ったりしていたそうです。
「今回のコラボで、音楽と日本酒の親和性の高さを確信しました。他の酒蔵でも、アーティストと日本酒のコラボが増えてきていますよね。それはシンプルな材料から複雑な工程を経て作品がつくられる点や、酒蔵ごとに唯一無二のこだわりや魅力がある点など、音楽と日本酒の共通点が多いからかもしれません。音楽と日本酒をもっと掛け合わせて、今までにない"日本酒と出会う場所"をつくっていきたいです」
さらに北山さんは、将来の展望として、楯の川酒造の主催で音楽イベントをやりたいと語ります。
「音楽フェスにはお酒が付き物ですが、日本酒はあまり置いていません。逆に、蔵開きなどの日本酒イベントは、お酒を提供するだけで、気持ち良く酔いながら乗れる音楽がない。そのふたつが掛け合わされると、きっとさらに楽しい場ができると思うんです」
「楯の川酒造には、社員の新しいアイディアをおもしろがってくれる社風があるので、音楽フェスはぜひ実現させたいですね。日本酒を通じた新しい体験を提供していきたい。また、アーティストとのコラボも今後もどんどん取り組んでいきたいです」
次にコラボしてみたいアーティストを聞いてみると、北山さんは音楽少年の眼差しで、さまざまなアーティストの名前を挙げてくれました。楯の川酒造の音楽とのコラボレーションは、これからさらに広がりをみせていきそうです。
(取材・文:ヒラヤマヤスコ/編集:SAKETIMES)
◎商品概要: Foo Fighters×楯野川 純米大吟醸 半宵 碧
- 原材料名:米(国産)、米麹(国産米使用)
- 原料米:山形県産出羽燦々100%使用(ラベル非表示)
- 精米歩合:50% 内容量:720ml
- アルコール分:15度
- 小売価格:3,080円(税込)
- 特徴:華やかな香りと軽快な甘みが感じられる味わいです。Foo Fightersのポップな面にフォーカスして醸造いたしました。日々の疲れを癒してくれるような優しい口当たりと甘みが体全体に染み渡ります。
◎商品概要:Foo Fighters×楯野川 純米大吟醸 半宵 銀
- 原材料名:米(国産)、米麹(国産米使用)
- 原料米:岡山県産雄町100%使用(ラベル非表示)
- 精米歩合:50% 内容量:720ml
- アルコール分:15度
- 小売価格:3,080円(税込)
- 特徴:重厚感があり後味のキレのいい味わいです。Foo Fightersのロックな面にフォーカスして醸造いたしました。しっかりとした骨格のある口当たりと凛とした佇まいが、明日への活力を与えてくれます。
◎リリース情報
- アルバム名:メディスン・アット・ミッドナイト|MEDICINE AT MIDNIGHT
- 品番:SICP-6329
- 価格:2,400円(税別)
- 購入・配信ページ:https://SonyMusicJapan.lnk.to/FF_MedicineatMidnight
◎Foo Fightersについて
- 元ニルヴァーナのドラマーであり、現在の音楽シーンを代表するロック・アイコン、デイヴ・グロール(vo,g)を中心とする米ロック・バンド=フー・ファイターズ。グラミー賞11冠に輝きアルバム総セールスは3,200万枚超、ニルヴァーナ時代も含めると1億枚にも及ぶ。カート・コバーン夭逝後の95年に発表した、バンドと同名のデビュー作「フー・ファイターズ」のリリースから25周年を迎え、今作「メディスン・アット・ミッドナイト」が記念すべき10枚目のスタジオアルバムとなる。機材を詰め込んだヴァンで全米を飛び回りながらハード・スケジュールをこなした日々から、四半世紀。世界中のフェスのヘッドライナーとして君臨することは勿論、自身のLIVEでも65,000人×2 DAYSを即完させるバンドとしての現在地に胡坐をかくことなく作り上げた最新作は、"らしさ"と"新しさ"が共存する彼らの真骨頂といえる傑作となっている。
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