最近「日本酒は健康に良い」という情報をよく見聞きするようになりました。日本酒には、アミノ酸をはじめとする700種類もの栄養成分が含まれているため、日本酒が健康に及ぼす肯定的な影響についての情報が、ネットを中心に多く流布しています。

いち日本酒ファンとしては、願ったり叶ったりでしょう。しかし、医学的な観点からみた本当のことを知りたいですよね。そこで今回、『酒好き医師が教える最高の飲み方』(日経BP社刊)を監修した日本酒好きの医師・浅部伸一先生に、お酒にまつわる素朴な疑問を聞いてみました。

浅部伸一先生(自治医科大学付属さいたま医療センター)

未成年の飲酒が禁止されているのは世界共通

未成年がお酒を飲んではいけないという法律は日本だけでなく、多くの国で定められています。その根拠はどこにあるのでしょうか。

浅部先生は「いろいろな理由がありますが、脳の発達が未成熟な段階で、脳に悪い影響を及ぼしかねない行為を防ごうという目的が大きいのではないでしょうか」と語ります。

未成年は肉体も精神も成長途中

「20歳という線引きに、はっきりとした根拠はありません。身体の発達や脳の成熟には個人差があるので、18歳くらいで完成する人も多くいると思います。しかし、どこかに線を引かないといけませんから」と、浅部先生。

脳をはじめとした未成熟な臓器に対して、アルコールがどのくらい影響を与えるのかは詳しくわかっていませんが、リスクがあるのは明確。そこで、子どもたちの未来を守るためのルールをつくろうという各国の見解が生まれました。

また、精神面の悪影響も理由に挙げられます。社会的に未成熟な人は、何らかの依存症になりやすい傾向があるのです。お酒を早くから飲み始めている人は、タバコや薬物の依存症になる確率が高いといわれ、未成年者がアルコールを飲むことによる依存症や健康の問題を研究している医師などは、警鐘を鳴らしています。

中高生ぐらいからアルコールを飲み始めてしまうと自身の適量が判断できないという考え方が基本になっているようですね。

初めてお酒を飲む人が気を付けることは?

初めてお酒を飲むときは自分の適量がわからないため、注意が必要です。最初から飛ばしてしまうのは危険なので、酔ったらどうなるかなど、自分の適量を知ることに重点を置きましょう。

お酒を飲んでいる時間は楽しいものですが、酔いは後からやってきます。勢いで飲んでしまうと、急性アルコール中毒になる可能性も高くなってしまいます。アルコールが原因で命を落とすのは、まだ飲み慣れていない若い人の方が多い傾向にあるため、飲み始めたばかりのときは、自分のペースで飲める友人や家族といっしょに飲むほうが良いかもしれません。

また、日本人のなかには体質的にアルコールがまったく飲めない人が一定数いるため、自分がアルコールに弱い体質かどうか早めに知っておくことがとても重要です。

◎参考文献

  • 『酒好き医師が教える最高の飲み方』(著者:葉石かおり、監修:浅部伸一/日経BP社)
  • 最新医学のエビデンスをもとに、お酒の正しい飲み方を指南した一冊。お酒の楽しみ方はもちろん、健康や美容との関係など、お酒を飲む人が抱く素朴な疑問に回答を示し、多くの読者から高い評価を得ている。

(取材協力/葉石かおり)
(文/乃木章)