2018年も残りわずか。「災」という漢字が象徴しているように、さまざまなニュースのあった1年間でしたが、日本酒業界でも大きな動きがありました。今回は、日本酒業界の2018年を月ごとに振り返っていきます。
さっそく、2018年1月から順にみていきましょう!
1月
ニューヨークに新しい酒蔵「Brooklyn Kura(ブルックリン・クラ)」が誕生
ニューヨークのブルックリンに新しい酒蔵が設立されました。アメリカのみならず、ヨーロッパでも醸造所の営業がスタートした2018年。海外市場での日本酒の注目度が高まっていることが感じられるニュースでした。
2月
2017年の農林水産物と食品の輸出額(速報値)が発表─ 日本酒は前年比約20%増加
「ワイングラスでおいしい日本酒アワード2018」 の審査結果が発表
東京23区内で最古の酒蔵・小山酒造(東京都北区)が廃業(外部リンク)
日本酒の輸出金額が8年連続で過去最高記録を更新したうれしいニュースの裏で、小山酒造の廃業が業界内に大きな衝撃を与えました。今後、日本酒業界が発展していくために、インバウンド需要や海外市場の盛り上がりとともに、新たな市場が開拓される必要があります。
3月
奈良県の油長酒造が「風の森」の一升瓶を廃止
瀬戸酒造店(神奈川県)が38年ぶりに醸造再開へ
「にいがた酒の陣」の参加者が過去最高の14万人に
Miss SAKEグランプリを神奈川県代表の須藤亜紗実が受賞(外部リンク)
多くのファンから愛される日本酒イベント「にいがた酒の陣」は今年も大盛況でした。また、生酒の品質にこだわる「風の森」の油長酒造が一升瓶を廃止した決断は、今後、他の酒蔵にも影響を与えるでしょう。
4月
新潟大学で「日本酒学」が開講(外部リンク)
世界的なグラスメーカー「RIEDEL(リーデル)」が純米酒専用のグラスを発売開始
「CRAFT SAKE WEEK」が六本木で3年目の開催。11日間で12万人を動員
人気声優・茅野愛衣さんが日本酒イベント「かやふぇしゅ」を開催
新潟大学の「日本酒学」は各種メディアでも取り上げられ、大きな話題になりました。10月には神戸大学でも「日本酒学入門」が開講しています。これらの取り組みから、日本酒に興味をもつ若者が増えることを期待しましょう。
5月
平成29酒造年度 全国新酒鑑評会の審査結果が発表
「IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ) 2018」SAKE部門の審査会・トロフィー授賞式が山形県にて開催
株式会社未来酒店がAIを利用した日本酒のマッチングサービス「YUMMY SAKE」をリリース
未来酒店が経営する酒販店「未来日本酒店」の代官山店は、1月16日にAI酒屋バー「YUMMY SAKE Collective」としてリニューアルオープンするそうです。「YUMMY SAKE」をまだ体験していない方は、ぜひこの機会にお試しください。
6月
「はせがわ酒店 日本橋店」がオープン。日本酒など約700種類の品揃え
立川哲之氏が全国47都道府県の全酒蔵巡りを開始
日本一美味しい市販酒を決める品評会「SAKE COMPETITION」の上位入賞酒が発表
黒龍酒造(福井県)が日本酒業界初となる、メーカー主導の入札会を開催
「獺祭」の旭酒造(山口県)とジョエル・ロブション氏がパリに「Dassaï Joël Robuchon」をオープン
SAKETIMESが月間PV/UUの最高記録を更新(外部リンク)
6月の大きなニュースといえば、黒龍酒造が開催した日本酒業界初の入札会。日本酒の価値を世の中に問うという点で、エポックメイキングな取り組みでした。
7月
フランス発の日本酒コンクール「Kura Master」にて、650品の頂点「プレジデント賞」が発表
西日本豪雨(平成30年7月豪雨)により、多くの酒蔵が被害(外部リンク)
株式会社Clearがプレミアム日本酒ブランド「SAKE100」をリリース
「IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ) 2018」SAKE部門のチャンピオン・サケが発表
株式会社WAKAZEが、東京・三軒茶屋に醸造所を併設したバー「Whim Sake & Tapas」をオープン
「二才の醸」の3代目は青木酒造(茨城県)へ。引継ぎ式が行われる
西日本豪雨によって多くの酒蔵が被害を受け、業界全体が不安を抱えていた7月ですが、WAKAZEの醸造所オープンや、Clearの新ブランド発表など、日本酒ベンチャーの新たな挑戦に関するニュースが注目された月でもありました。
8月
「全国燗酒コンテスト2018」の審査結果が発表
旭酒造が西日本豪雨被災者の支援商品として「獺祭 島耕作」を発売
豪雨災害をきっかけとした「獺祭」と『島耕作』のコラボ。お酒のスペックが非公開ということで大きな話題を呼びました。旭酒造だけでなく、大きな被害を受けた藤井酒造(広島県)でも酒造りが再開し、新酒の出荷が待たれます。
9月
「藤﨑摠兵衛(そうべえ)商店」が埼玉県長瀞町に酒蔵を建設し、4年ぶりに酒造りを再開
日本橋髙島屋 S.C.新館に日本酒に特化した「紀ノ国屋」がオープン
「酒サムライ叙任式」にて、橘ケンチさんらが任命される
日本酒の啓蒙活動に精力的に取り組んでいるEXILEのパフォーマー、橘ケンチさんが「酒サムライ」に任命されました。12月には、人気の新政酒造とのコラボを発表するなど、今後の動きにも注目です。
10月
「日本酒の日」日本酒造組合中央会の主導により日本全国でイベントが開催
イギリス・ケンブリッジに酒蔵「堂島酒醸造所」がオープン
白瀧酒造(新潟県)が、ペットボトルの上善如水を発売
JUJUがデビュー15周年ツアーで「十四代」の高木酒造(山形県)とコラボ
広島県西条市の酒蔵を舞台にした映画『恋のしずく』が公開
「SAKETIMES」「SAKE100」を運営する株式会社Clearが7,500万円の資金調達(外部リンク)
ベルギーの国際的ワインコンクールによる日本酒品評会「SAKE selection 2018」の審査結果が発表
1月のブルックリン・クラに続いて、10月にはイギリス・ケンブリッジに酒蔵がオープン。いよいよ日本酒のシーズンということで、ニュースの多い月になりました。
11月
獺祭がニューヨークに酒蔵を建設へ。地鎮祭を11月に開催(外部リンク)
政府が清酒製造蔵の建設に関する規制緩和を発表(外部リンク)
火災で半焼した山陽盃酒造(兵庫県宍粟市)の義援金口座が開設
SAKETIMESが月間UUの最高記録を更新(外部リンク)
山陽盃酒造の火災被害には、業界関係者のみならず、多くの日本酒ファンが心を痛めました。義援金の寄付は2019年5月31日まで受け付けているようです。
12月
ニューヨークで 福島県酒のアンテナショップが期間限定オープン(外部リンク)
日本酒業界の2018年を振り返って
2018年は輸出額の記録更新や海外での酒蔵設立など、海外市場におけるニュースが注目された一年でした。また、国内ではWAKAZEや未来酒店、そしてClearを中心とする日本酒ベンチャーの新しい挑戦が業界の内外を問わず、大きなインパクトを与えています。
日本酒は時代の変化に直面しつつも、多くの人々がそのポテンシャルに気付き始め、世界的な注目度を着実に上げているといえるでしょう。2019年は、海外市場を中心にさらなるチャレンジが見られるのではないでしょうか。
SAKETIMESはひきつづき、日本酒の良質な最新ニュースを読者のみなさまにお届けしていきます。
(文/SAKETIMES編集部)